名神高速道路・大津SA探訪―その1
2004/09/09 晴れ
この記事は旧サイトにあった2004年の記事をそのまま復活させたものです。
あまりに表現がつたないですが、あえてそのまま、手を加えず載せます。
このころは自転車で近所を回って旅気分を味わえるところを探すみたいなことをやってました。まぁほんとお金がなかったんです…
さすがにこんなスタイルでは苦しかったので、鉄道で大回りしたり、隣県に降り立ったりして旅欲を凌いでました。
日常の風景の中の旅
高速道路や自動車道に異空間の魅力は感じませんか?
私たちはふだん高速道路の下にある小さな箱型のトンネルをくぐったり、跨線橋から見下ろします。しかし、高速道に入ることはできない。
そして、側道の自動車のスピードよりはるかに速く自動車やトラックが流れていく。
私には高速道だけ、別の時間が流れているようにいつも感じられて仕方ありません。
また丘を開削して作られた高速道路の傍は何か寂しい感じがしないでしょうか?
そういう所には、丘を開削したためそこにあった里道が削り取られてしまい、代わりにか細い跨線橋が架かっていることが多いと思います。
そして夏の晴れた日に、そのような寂しい跨線橋から高速道を見下ろすと、
遠い地への想い、過去に遠出したときの思い出がよみがえります。
そして、旅行という非日常性を、この高速道路の異空間性が増長させ、私は強烈に遠出の魅力を感じます。
高速道路は無機質で、また山裾や田舎の平地を通っているため風景の変化は豊かではない上に、さらに防音パネルによって視界は限られてくるので、高速道路は単調でおもしろくないこともあります。
しかしそれゆえに、風景のダイナミックな変化があればぱっと目が開かれますね。
例えば、なかなか速度が上がらないと思ったら、実はどんどん標高が上がっていて、山が両側から迫ってきていたり、目的地がとある山裾であればその主峰が望めたり、また、単調なトンネルの連続ののち、海に突き出す高架橋が現れたらどうでしょうか。
このようなダイナミックな風景の変化がないと、小さな変化を求めて高速道路外での生活の営み、時間の流れが目に入るかもしれません。
例えば、たまたま見えた高速道路の側道に、高速道路とほぼ同時に同じ山に入る古ぼけたトンネルを見つけたり、両端が緑の森に突っ込んでいる、里道の代わりに架けられた人の気配のなさそうな細い錆びた跨線橋に、たまたま人が歩いているのを見つけたりするかもしれません。このようなものを見れば、私たちは防音パネルで視野が遮られ、高速で目的地に近づいている最中に、その高速道路を取り囲むおもしろい風景があったかもしれないと思ったり、ふだんの時間の流れを垣間見たと思えるでしょう。
そしてよく考えれば、その時間の流れの差やおもしろい風景は、私たちのすぐ傍の高速道路わきでも味わえることになります。
身体に異種の時間を内在させ、身体を仮想化する→身体が風景を作ることによる実存
いま、ある跨線橋の真ん中に立っているとします。
まず時間の流れ方の違いを味わってみましょう。
その高台から遠くまで伸びる高速道路を見やると、いま、自分が跨線橋に立っている空間からは何度も角を折れ、信号待ちをし、やっとたどり着ける場所を、ここと一直線と結んでいます。
そして、眼下の高速道を眺め、自分が高速道路から今の自分と同じ状況を見つけたときのことを想像してみましょう。
その想像に含まれた感覚と、今自分が跨線橋立っている感覚を同時に味わってみると、
異なる時間の流れを同時に感じ、今自分がいる空間と高速道路という空間の違いを存分に味わうことができます。
跨線橋の周りの風景はどうでしょうか。高速道路が開通する前はどんな丘だったか想像してみませんか。
あれだけ自動車やトラックが走っているのに、相変わらず寂しい丘。高速道路は終日人の乗った乗り物の行き来が絶えないのにそこから人の気配を感じることはできない。ゆえに以前と変わらず物寂しいかもしれないけど、いま、丘は二つの空間が交錯し自分の感覚が立体的になりおもしろいものになっている。
そして、遠くまで流れるクロソイド曲線の美しさに気づくかもしれない。高速道路の全体像の美しさを高速道路上で知るのは難しいでしょう。
それから、跨線橋に立っているというその状態そのものが、高速道路という空間に一つの大きな変化を与え、
その存在が高速道路からの風景を形作っている。こうして人一人の存在が時間の差を与えるとき、その風景は大きな変化を獲得すると思います。
このような違いのある、私たちの普段の生活空間と高速道路という空間を結びつけるものの一つにインターチェンジがありますが、徒歩の人間には、少し魅力を掻き立てられたとしても、それはどうしても通過できない障壁に思えてくるし、自動車などでインターチェンジに近づいても、それらの乗り物が互いの空間を媒介してくれることを保証してくれるているので、さらに魅力を失うでしょう。
しかし高速バスのバス停はどうでしょうか。あそこは合法的に自由に人が異空間に出入りできる扉です。
こうすれば、異空間に入り込むことができますが、楽しむことはできません。
しかしこれらの空間を結びつけるレジャー施設に「ハイウェイオアシス」というものがあるのです。
これは高速道の利用者も、また高速道路外の人も利用できる割と大きな施設でレストランやみやげ物売り場などがあります。
今回は、ハイウェイオアシスではありませんが、異空間同士をつなぐ「大津サービスエリア」を紹介しましょう。
大津サービスエリアまで
この日は酷暑で夏らしく晴れ渡っていました。そのため写真も明るいものが撮れたと思っています。
家から国道1号線の別保へ入る道まで行きました。
こののち、国道1号線とJR琵琶湖線ではさまれた交通の行き来がしにくいデッドゾーンである別保を進み、
西ノ庄を通過、湖岸道路の由美浜交差点に出て、大津プリンスホテルを望む。
なぎさ公園に出て北上し、「市民プラザ」で写真を撮影。
昼の琵琶湖はよく霞がかるからこんなふうな写真しか撮れない。
琵琶湖大橋と大観覧車が見えることもあります。
こののち大津中央郵便局横の京阪の踏切を渡り、その道を再び山裾の国道1号線まで登って、朝日が丘まで行く。ここは音羽山の麓にあたり、なぎさ公園との標高差はかなりある。
この朝日が丘は戦後の住宅需要の増加に伴って、大津では真っ先に丘を拓いてできた住宅地で、この朝日が丘の頂上には名神高速道路が走り、朝日が丘名物スターハウスの跡地がある。このスターハウスは三ツ矢のそれぞれの矢を箱型にした三本足のヒトデのような形で、それは狭い土地で多くの個数を確保して日照に配慮したためといわれる。
この日はまだ取り壊されたことを知らなくて、撮影しようと思っていた。
スターハウス跡地へ向かう朝日が丘の上り坂はかなりきつくて、午後の太陽が容赦なく照りつけ、地表からの放射熱も強く、汗が文字通り滝のようにざあざあ流れ出て半袖から出した両腕と首筋がは赤く焼けてしまった。ほぼ頂上部に行くつくと道は途絶え名神高速道路にぶつかる。そしてスターハウス跡地には新しいアパートが建てられている。
普段はこんな遠いところまで来ないので、疲弊した体に鞭打ち、琵琶湖撮影に適した高層アパートや高台を探すためここから少し下る。
いろいろ候補を挙げて絞り、最も撮影の都合によさそうなアパートを見つけ最上階の6階までまで階段を上る。
右手のクリーム色の建物が県庁。この集合住宅は刑事ものか何かのテレビドラマで使われたことがあります。やはりここからの風景がよかったのでしょうね。
こちらの方角は曇っていました。
撮影終了後、いよいよ大津サービスエリアに向かう。