美々駅

(千歳線・びび) 2010年9月

 
実に何げない通勤列車ではあるけど、苫小牧―千歳の寂漠たる無人地帯を走っている。
 
こんなところでレピータは頑張っている。
苫小牧方。
こんな感じで野っ原になっている。
 
 
 
 
植苗駅より色が出てる。
札幌方。
 
 
インパクトがある。
こちらは植苗と異なり無蓋跨線橋。
 
多分保線基地の倉庫として使われているのだろう。
 
 
 
 
跨線橋にて。苫小牧方。
 
 
 
駅前を見下ろして。こうなるとほんと信号所の趣きが強い。
北側はごみ埋立地になっていた。
 
賑やか。
 
 
 
駅舎内にて。旧駅務室にストーブがあるのがわかる。
ほんとこのタイプの駅舎は北海道に多い。
 
駅前の様子。保線に車で来るって感じ。
美々駅駅舎その1。
2. ちょっとシティ。
 
 
3.
ごみ埋め立てに向かう道。駒里にも抜けられる。
駅はひっそりとある。
至国道36号。
行ってみようか。
私設ふれあいドッグ公園というのがあったようだ。
 
北海道の一般的な森。
 
リサイクル施設がある。
不思議の道。
なんとか美々の交差点に出た。
 
バス停跡。
千歳、札幌方。
店のあるようなところではない。
駅へ。
 
4.

 朝まだ早いうちに通勤列車を降り、隣の美々で降りた。苫小牧から札幌に向かう複複車線の国道を走ればわかるが、千歳市街に出るまでは丘陵地を縫う道で、何もない。植苗と美々はそういう経路上にある。
 かつてここに降りる人は運転士のお尋ね者になったというエピソードがある。最寄りの新千歳空港に行こうとして間違ったのではないか、ということだ。乗ってきた列車は車両を連ねていたツーメンで、気に留める人はいない。もともと北海道人にはそんなところもある。
 私は自由に美々の土のホームに放たれたが、遠くでは保線員が検査車を回し、高い草越しに周囲の建物も感ぜられて、ひと気が強かった。怖いほど寂しいのは植苗の方だろう。

 ここは昔から乗降者が少ないと言われていたが、それでも近郊の駅だけに設備は整っていた。美々という集落名もついているし、拓かれたところもあるので何らかの予定を見越したことはあったのかもしれない。
 駅舎の中を見たが、植苗と変わらず、ここで寝た方がよかったということにならなくてほっとする。損した気分になるのはいやだ。無人地帯だが、大都市近郊には変わらない。

 少し遠いが、どうも何かありそうな気がしたので早歩きで国道へ取り付かんとする。時間がない。北海道で乗り遅れたら大げさでなく致命的である。
 しかし国道にはやりは何もなかった。あるのは緑を縫う道に個人個人が文化を乗せた朝の車列だけだ。苫小牧や千歳、恵庭、札幌への通勤だった。

 肩に荷の重さをいたく感じつつ、さらなる早歩きで駅へと戻る。こんな奥まった静かな野辺の行き詰まりにある美々駅。量産型の鋸刃屋根の駅舎にもかかわらずその名も相まってかわいらしく思える。北海道の何の飾り気もない土の匂い。旅人は「助かった」と笑みを漏らして躊躇なく中に入り、椅子に荷物を下ろす、そして入ってきた戸口から顔を出し、駅前をまぶしげに見渡す。
 あるのは荷物だけという持たざるものとしての挑戦がここにある。もし何もかも失ってしまったとき、この美々駅はたいそう輝いて見えるだろう。このときの私には、そのように見えていた。