竹駅

(三江線・たけ) 2011年7月

 1時間20分ほど乗車、竹駅に到着。のらりくらりと川を見て、ちょっと疲れた。さてここからまた駅旅開始である。ここは大変だ、20分とたたないうちにバスが来て、それに乗らないといけないことになってる。時間がない…

石見川本、江津方
浜原、三次方

 長いこと冷房浴びて外に降りてしんどかった。しかしとにかく駅撮影の後はバス停を探さなきゃいけない。バス停があってもちよっとずれたところに止まったりするから、早めに待っておかないといけない。そんなこんなで大急ぎである。

中国地方には一文字駅名が結構あります
夏の江の川が見えたぜ!
簡単な駅ですが、しみじみとした感じがある。ちゃんとあそこに竹も生えてるしな。

 竹駅はホームだけの小さな駅だが、なかなかしみじみとしたものを感じさせる駅だった。山辺で、でも、細い県道が通ってきていて、江の川が家の隙間から感じ取れる。おまけに川辺に竹が生えてるのが見えて、なんかよくできていた。当然駅名も風流である。こういうしっぽりした駅はホームのみの駅だけでも悪くないし、降りてコレクションするのも変化球みたいでよい。  

ええ加減このポスターどうにかならんのかなと 雰囲気の破壊も甚だしい
スクールバスの時刻表 行先としてわかるのは粕淵だけ
ここも作木口の駅の近くの集落と同じ名前になっています。水運による港だったのでしょう。
ザラザラ感…
路盤はきれいです

 そしてすぐ近くには青いガーター橋が…駅の近くには必ずと言っていいほどあるよなぁと。ちょっと橋に食傷気味でもあるけど…橋のあるところに駅ができたのか、駅のあるところに橋ができたのか…駅の設定されたところがもともと舟渡しの場所だったのか…まぁそんなわけで駅のあるところは対岸に渡れるということで。そう考えると、橋というのはなんというか文化の結節点だよなと思うのだった。

鉄道の水平感が際立ちます
竹駅その1.
島根県道40号
国の企業だったころですね
竹駅その2.
竹駅その3.
竹駅その4.
こんなん線路渡るしか家に行けへんやん
みなと橋

 タラップのような階段を下りて細く静かな県道を早歩き。バス停はバス停はと探すと、橋のたもとに看板群を発見! そこにバス停はあった。ほんと歩いてすぐでよかった。が、表示を読んでもどっち方向から来るか全然わからん…書いてある地名でわかるのは粕淵駅とここ竹駅だけである。おまけにGU発とありなんのことやら…まさか福屋のことじゃないだろうしと横の看板を見るとゴールデンユートピアおおちとあるではないか…どうもこの公的施設のことを略しているらしい…にしても田舎ほどこういうハイカラなやり方するんだよなぁ…地域によってはフリーバス、とかフリー乗車区間とか、もはや無料バスと勘違いするような命名もある。

ここからバスに乗り、粕淵に移動します 12:26発です にしてもGUってどこやねん…田舎ほど結構ハイカラなバス停名があったりします
あ~GUってゴールデンユートピアおおちってい施設のことだったのね
この辺ではちょこちょご町道ヘキサを見かけます

 というわけで時間までの間、みなと橋から江の川を見下ろす。橋を渡り切りたかったが、そうしてる間にバスが早着する可能性もある…この辺の江の川は護岸がなく緑の多い自然のままだ。カヌー漕ぎしてても楽しいところなんじゃないかな。江の川は結構ダム化されてるところがあるから、貴重である。

田舎あるあるある、橋詰めに看板多い~ うちの近所の渓谷エリアにもあります(宇治)
とりあえずバスを待ちましょう
至木路原駅 全然歩けますが、できるだけ鉄道やバスを使った方が早く回れます

 バスを待つけど、車も人も通らない、ちょっと薄雲のかかった午後。ただ気温は高く、かなり暑い。ほんとにこんなとこで待っててバスなんか来るのかと思う。たまに火曜日だけ運行とか は?  といいたくなる運行もあるので、何度もバス停の掲示を読む。大丈夫。そんなことは書いてない。ちなみに特定曜日だけっていうのは、診療所の関係かもしれない。  にしても、文字が書いてあるものにやたら文化を発見した感じになるようなところだここは。電報電話局、NHKなどの関係の表示板が見られる。そこに旧国鉄の鉄道、と。ほんと国か全国津々浦々、インフラを整備したんだなと。そんな時代があった。それまではほんと茅葺の家と農林水産業以外、何もなかったのだ。けれどもそんな生活精神こそ、基本なのだろう。  が、僕は耐えられないと見えて、さっさとバス来い、と蒸しあっつい中、じっと道の方々に目を凝らしている。  腕時計の時刻から数分遅れてバスが到着。時計は早めにしていたと思う。ふっとバスが現れたときはびっくりした。そして爺さん運転手も驚いていた。ともかくちっょとずれたところにバスは止まった。

バス捕まえられてほっとした

 乗り込んだら運転手はもう驚いていなかった。客は婆さんが一人。というわけで乗客は二名。それには広すぎるバスで、新しくいいものだ。スクールバスも兼ねているので、朝夕は埋まるのかもしれない。にしても…こんなふうな蚕糸ほどの細い交通に合わせて日常生活を送る、嗚呼、なんて省エネルギーで合理的なのだろう、と。そんな僕は機関車信者である。摩擦係数低く一つの動力でいくつもの客車や貨物を引く、そんな効率の良さが美しく映る。いつの間にか動力贅沢になった。プログラムでいくつルーチンを書いていいように、いつしかモーターが溢れ出した。  もうこんなふうな暮らしでいいんじゃないか? そんなふうにも思う。でもみんなが動力を持つ社会に生きるなら、その速さに合わせて街は形成されるので、やはり自分も持つしかなかろう。  いずれにせよ ― 今の僕は全部ダイヤを事前に調べ上げ、鉄道、駅、バス、駅と渡り歩いているだけだ。こんな山の中でいやに機動的になれるのはねなんか不思議な感じがした。

とことごろ断崖が見られます
江の川を渡り…
なんとなし道南で尻内からバスに乗ったときのことを思い出した。

 ほどなくして山間部にしてはちょっと賑やかな街が見えはじめた。コンビニなどもある! なんとなし粕淵市街かな?と思っていると、もうバスは粕淵駅前に到着。あっという間だった。にしてもも先に街が見えてしまうと、ちょっとおもしろくないものだ。やはり鉄道というのは、駅に着くまで一切街とは接触しない、異空間なんだな。

粕淵市街到着したみたい