敬川駅
(山陰本線・うやがわ) 2012年7月
16時過ぎ、都野津から隣の敬川におじゃました。くっそ暑い中のホームのみの駅で、なぜこんなところに降りたのだろうかと…しかも次の列車まで1時間近くあるし。
「ええい、もうここで休憩じゃ!」
肌も肩も痛いし、荷物をきったないベンチに投げ付ける。
まぁ、波子とか、町っぽそうなところに降りてしまうとついつい歩いて休めなくなってしまうし。実は…さっきの都野津でもほとんど休憩みたいになっていた。すでに駅寝を4夜していた上にこの暑さ、ろくに食べられもせんし、もうほんとに死にそうだ。ただ自販機で飲料をひと駅ごとに買うしかない。それでもけっこうつくが、そんなこと言ってられないんだ。「これは下手したら山行よりつらいぞ。衆目もあるし…」
降り立って、なんか建物があるやん思いきや、やはりトイレ。トイレだけはそこそこまともというよくあるパターンだが、まぁありがたいのか…
駅より海側は畑と家屋で雑然とし、沖ノ浜と名付けられた海浜地形だが広大過ぎて海は見えないし感じられもせず…ただホームの太く伸びた白線一文字が男前だった。
「もぅいいやん。休憩休憩! な。」
荷物をほっぽらかして散策。こんなに楽になるのかと。
国道9号を観光し、敬川の集落の入口を覗いたりした。和菓子屋さんがあって、敬川まんじゅうなものがあるそで、この町に思い入れのある人たちもいるのかもしれないな、と。
けど今はアイス、氷、炭酸ジュース!だ、と、とりあえずそこの自販機で長缶を買って、駅に戻った。実は秘策があり、空のペットボトルに長缶のジュースを詰める。同容量でペットボトルより30円ほど安いから。
後はじりじり灼かれながら列車を待つ。灼かれない方法がなかった。
車が入ってきて客かと思いきや、トイレだけ利用して帰っていく。
しばしぼんやりした。掲示物をひらい読みしてみるも、おもしろいものは何もない。そしてまた目の前のビニールハウスを見て、またちょっとホームを歩く。
座って、「明日はどっか楽しみなところあったかな」と考えていると、突然放送が流れ、踏切での安全確認の影響で20分ほど遅れる、と。
「お客様にはご迷惑をおかけしますが今しばらくお待ちください。ブツッ」
「追加で20分も灼かれんの?…もう勝手にしたらいいわ…」
いやいや、こんなとこで待ってる方がおかしいから。この時間はそろそろ降車オンリーの駅だから。
さらに放送があって、30分ほど遅れると。もはや何も感じない。もちろん一緒に待つ人など現れない。
汽車が来たとき、すでに少し暗さを感じるくらいになっていた。押し迫る運転台を見上げていると、彼は意外そうな表情をする。私は「待ったどー」と体感で表現して列車に乗り込んだ。
もう少し駅の設備が良ければとは思う。しかし、こんな暑くひどい駅で待たされるのもまた人生だと思えた。別に何かされるわけでもない。こんなところでもぼんやり待っていれば列車はやってきて、目的地に向かえる可能性が生まれる、そういう国民ぽさの中で、私はいままどろんでいる。