福良港・福良の街―道の駅「福良」―四国一周紀行(自動車旅)
2022年4月
車中泊して朝8時頃起床、7時にはもう朝の光が散乱していて、四月一週目だというのに初夏のように暑かった。大型バスりエンジンもうなり、かつてここが交通の結節点だったのを肌で感じた。今はもう四国へ渡る旅客船は出ていないが、代わりに渦潮を見る豪華なクルーズ船が出航している。
今日の予定は、とにかく鳴門岬に行くこと、そして対岸の鳴門公園で「渦の道」を歩くことだ。今日中に四国へ渡ってしまうという大きなミッションが待っている。
春先の福浦港は潮の香りがあまりに強く、肌がべとつくくらいだった。船のボイラーも始動していて、足湯ではおばちゃんがプロ用の高圧洗浄で掃除している。僕の車を駐めていた後ろでは家族総出で炉端焼きの開店準備をしていた。地方ののどかな漁港とは程遠く、さまざまな工夫と努力で、いまだ活動的でありつづける福浦港を見た気がした。
朝起きて、車中泊した街を散策する、なんて贅沢なのだろう! 駅寝ばかりしていたので、朝はむちゃくちゃ早かった。けれど今日なんて朝8時過ぎという、なんともいい時間だ。早すぎず、遅すぎず。ただ、街では人々がシャッターを開けはじめ、あるいは仕事場に向かうおばちゃの自転車が横を過ぎていく。なんとも気後れしてしまうが、平日の旅行というのはなんとも愉快なものだ。僕は福良八幡宮の階段を揚々と登っていった。
社殿は立派で、軒端の青銅灯篭が印象的だった。影が深く、涼やかだった。
適度に体を動かした後は、ローソンでパンと飲み物を買って朝食。急にクルーズ船に乗りたくなった僕は、さんざ逡巡した結果、中に入るが、係の人がもう船は出たばかりで午後の遅めの方が渦が大きいとのことで、ふん切りがついて、僕はようやくここを後にした。それになにより、徳島側からも乗れて、同じクルーズならそちらの方が1500円と、ここより1000円も安かった。ただ、船の豪華さでいえば、圧倒的にここ福浦港から乗る方がいい。
まぁ、迷っていたのは、ここではそんなに時間を取る予定じゃなかったからね。やはり今日の目的は鳴門岬と、その対岸の鳴門公園の渦の道だ。