EUC-JP to UTF-8 関西本線・木津駅

木津駅

(関西本線・きづ) 2004年9月 -

  奈良線ははじめのうちは京都近郊の様相を見せるが城陽を越えて下っていくととんでもない郊外に連れて来られ、奈良でも京都でもない感じの、田畑ばかりなところになる。しかし近郊区間には変わりなく、いつも意識の奈良がこの先に控えていた。黄緑色の旧式電車の揺れは、まさに機械そのものに乗っていると思わせる。こんな醜体を引きずって、山城多賀、山城青谷と読みあげられて、各駅停車に徹しているのを目の当たりにすると、意思を埋没させて命令どおりに仕える老馬車のようだった。

  このどちらつかずのような平野は、近畿の路線の中でも、とてもほっとさせるもので、こんな雰囲気があと少し遠くまで続いてほしいと思ったことが度々あった。それはやはり都市奈良が控えているからだろう。
  低山に囲まれているけれども奈良盆地のような窒息感や光明な歴史に彩られていなさそうな、この沿線の、自由でのびやかな農耕地は、ついに淀川三川の一つ、水量豊かな木津川を鉄橋で渡るようになると、極みに達したと同時に終わるかのようだ。次は木津で、三線乗り込む乗り換え駅。気が急かされるし、人も増えてきそうだ。

  しかし降り立った木津は、路線の交錯点として図体が大きいだけの、ただ降りた客が列車を変えるだけの駅かのようだった。プラットホームの白い木の屋根の向こうに、棚田が見えて、売店では女子高校生が買い食いしていた。駅前はというと地元の商店街が垣間見えるだけとなっている。   かなり安心し、なんだ木津ってこんなところだったのか、と緊張がほどけたものだった。

 

 

片町線が分岐して行く様子。単線。

地下道への階段にて。奈良、天王寺、名古屋、亀山、京都、四条畷などが案内されていて、一大結節点だった。

  地下道に入ったら、いったん折れてトイレや売店や、パンフレット棚を連ねていて、ちょっと賑やかな空間を醸していた。やはり乗り換えであるから、そのついでに利用できるよう、こういう施設が改札内に無理にしつらえられたのかなんて考えたりした。
 自動改札が入っていたが、駅の中は構内に比してかわいらしいほど小さい木造。そこでは中年を下った女性らや、自分たちだけで遊びに出てきた夏休みの子たちが立ち回りつつ待っていて、若い男性客らがみどりの窓口に列をつないでいた。窮屈だが、都市で待つ人々のように体面を保って待とうとしない温みに頭を突っ込んだかのようだ。

駅の造りがレンガ積みであることが発覚。しかしこの剥げ落ちたのはお洒落なのかそれとも…。

地下道内の様子。

地下道の駅前側、突き当った様子。奥にトイレがある。

 

改札へ。ポスターがすごい。

改札口の様子。

  ふだんは奈良まで行くため、この駅は行き過ぎるだけだったし、乗り換えでは笠置方面へ行くときに使っただけで、改札は出られなかった。そういう駅に初めて下車すると、各駅の改札によって閉じられた線路や列車という空間から解き放たれたようで、気分がよく、また、木津で鉄道以外の風景を見られたと思った。
  駅前通りは広く、ただでさえ小さい駅のため、豆粒ほどに見えてしまう。こんな規模でも足りているのだろうと思うのだが、周りは工事していて、このままでは置かれないようだ。

木津駅駅舎。相当外観を改装しているのがわかる。

駅前の様子。工事のためかロータリーの形が崩壊している感じ。

自転車放置監視区域はいいのだが、その横のノーガンズ、持つな、持たすな、預かるな、って、ここはどんなとこかと思った。

細路地から見た駅舎。木造なのがよくわかる。

こちら別棟。こんなものもあった。

駅前。

どうも工事だけのせいではない、いびつさのあるところだった。

  木津駅から出る片町線は学研都市線と呼ばれているように、すぐ近くの京阪奈丘陵には府県を跨ぐニュータウンが造られていて、研究機関や住宅地、学校、国会図書館などがある。その余波がしだいにここにも寄せてきていると考えられるものだった。そういうわけでこのあたりは、京都、大阪、奈良のいずれにも近い立地なのだが、逆にそのいずれでもないということにもなりかねず、長年ど田舎の様相であったのであるが、けいはんな線開通のニュースや、片町線駅前を見に行ったところかなり整備もされていたので、最近はよくなったのかな、と思う。
  どこのものともつかなさそうなニュータウンは、木津側のだぶだぶという流れや、たゆとう流れが自分の故郷に拘らず様々な地域を流れ融和し去っていく姿と重なり、少し魅力を感じた。

 

  駅に戻るといまのところは、菓子を食べながら加茂気動車接続の列車を待つような急かされぬ雰囲気だが、そのうちここも澄ました顔で立って列車待つ忙しいところになりそうだった。
  木津川の流れはほとんど変わらないだろうが、それでも郊外都市を去りたくなったときは、加茂から気動車に乗って、すぐ近くなのに別世界の笠置や伊賀上野に向おうと思う。

  関西本線  
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