マキノ駅

  永原駅をあとにした私は、隣の駅であるマキノ駅に降り立った。 マキノ駅に降りて、駅から歩き、琵琶湖の浜辺を散歩する・・・そんな簡単な計画を立てていた。 この日は、青春18きっぷの利用期間の始まる前にあたる7月中旬。 これからできるかもしれない大きな旅行の前に、 簡素に縮小した旅程を実現することでイメージを膨らませたいという気持ちがあった。

陸屋根の上屋の途切れる寸前からみた、上屋のない駅構内。ずっと先のほうでホームが終わっている。 降り立った上り線ホームから、永原・近江塩津・敦賀方面を望む。


線路内に向かって少し上ずった陸屋根の上屋の駅構内。全体的に鉄骨と波板で作られ、色も白と灰色で仮設のような感じがある。 駅の両ホームを京都方面に望む。


縦に波が入った灰色の板と、白い鉄筋で組まれた壁に沿うように造られた、階段への下り口付近。 向かいの下り線ホームの階段下り口付近のようす。 置かれているのはゴミ箱とつい立式時刻表だけであり、簡素で寂しい。 階段の開口部のコンクリート上部には、風雪を防ぐように、格子にガラスの入った遮蔽板が設置されている。


上屋から吊られた白地に黒い字で書かれた無灯式名所案内板とJR西日本様式の無灯式駅名標。上屋と壁に接近して吊られている。 向かいのホームの名所案内板と駅名標。
マキノスキー場と國境スキー場が案内されている。


向かいのホームを左手に斜めに見て、右手に立っているホームの上屋の下を見て。無駄なものがなくすっきりとしている。 上り線ホーム中ほどから見た駅構内のようす。


両脇に水色の一人掛け椅子が並んだ小さなプレハブ風の待合室。床はコンクリート打ち放し。 上の写真左手にある待合室の中のようす。


上屋と壁に接近して吊られた駅名標。 上り線ホームの駅名標。


すぐ下に駅舎の灰色と黒に薄汚れた陸屋根、その先に緑の並木と少しの住宅が見える。 上り線ホームから琵琶湖側を眺めて。 すぐ下に駅舎の屋根と駅名表示の板4枚が見える。


路面が赤茶けた駐車場。その奥には緑の空き地があり、その奥から住宅が始まっている。 上の写真から少し右よりの風景。 駅前には広い駐車場が用意されているようだ。


ごく薄い段々畑と平地にあるもくもくした平らな森。 上の写真右手の風景。平地にまだ森が残っている。


向かいのホームの上屋のない部分。背後に白い柵があり、その向こうに田と林、山が見える。 振り返って下り線ホームのようす。


右手にステンレスの手すりの終わり、上方に線路内に向かって上ずった波板の上屋。クリーム色と鼠色が基調となっている。 上り線ホーム階段の下り口から振り返って。 都会駅のようなけばけばしい案内板がない。


  湖西線の駅のホームはどこもこんな感じでずいぶんそっけなくさっぱりしている。 ホームからの階段を下り切ると、地下通路の横穴に出る。 壁は蛍光灯に弱々しく照らされたクリーム色に塗られ、壁の下の方は牡蠣色のタイルが貼られている。 特に目の前の壁には緑色の生地を背景にした薄いショーウィンドウが設置され、 中に額入りの写真が横に何枚も並べて展示されてあった。 このような明るくないところで足を止めてじっくり見るということはあまりないかもしれない。 ガラスのショーウィンドウを左手にしながら、 わずか数段の階段を降りると少し遠くに光の差し込む改札口が見えた。 ぱっと見では有人なのか無人なのかわからない。

黒いゴムの横棒が入った石板を並べた床面、その先はコンクリート打ち放しの床面の駅舎内。その先に柵と一つのブースでできた改札口。人は誰もいない。 階段を降りて右折して。構内から見た改札口前の風景。


三方を壁に囲まれたスペースの右手にトイレの入口。スペースに入る前のところには、花の植えられたプランターが2つ並んでいる。 改札口に行く前に左に折れるとトイレがある。


同じく三方を壁に囲まれた縦長のスペース。左手に緑のフェンスに囲まれた室外機。 反対側の空間。駅員が出入りするだけらしい。


クリーム色の壁と牡蠣色のタイルの通路内。蛍光灯の明かりがクリーム色の壁に反射しているが、どことなく暗い。 今やって来たトンネル内を振り返って。


薄暗い通路内にある、背景が緑の薄いショーウィンドウ。 写真の展示。 ここを位置的に言うとすれば中二階となるのだろうか。


人がいなさそうなので無人なのかな、と思いながら窓口に差し掛かると、おじさんがいた。 なあんだ、いたのか、と考えながら改札を済ませて、駅構内を出た。

左斜めに出札口を見て。右手にはステンレスのブースの改札口、縦長の券売機がある。 改札口の風景?


改札口を真正面に見て。右手には天井から吊られた路線図つき運賃表と縦長の券売機がある。 改札口の風景?
奥に見えている階段は中二階への数段の階段。


横長の運賃表 運賃表。


  改札口前に掲げられている運賃表を、琵琶湖を囲む線に限定して見てみると、 ここから最も運賃が高いのは栗東・守山・野洲駅までの1450円。 その両脇からは1280円、1110円と下がってゆく。 さっき見てきた永原駅の状況を見ると、 遠回りした方が早いときもあるだろう。 そんなときのことを考えてか、琵琶湖を囲む線は大阪近郊区間に含まれ、選択乗車が可能となっている。

縦長の空間。天井はコンクリートが格子状に浮き立っていて、桟に囲まれたところはクリーム色で塗られている。この空間のずっと奥にはパンフレット陳列棚が置かれている。 改札口を右手にして見通した駅舎内のようす。


斜め左の位置に改札口、右奥に白い簡易な建物、天井はコンクリートが格子状に浮き立っている。 駅舎内の反対側のようす。


右奥に白い簡易な建物のキャッシュコーナー、その手前左手につい立式時刻表2つ。 奥には「しがぎん」のキャッシュコーナーが設置されている。


クリーム色に塗られた壁を巡らすようにポスターが貼られ、その前に青色の椅子が置かれている。 キャッシュコーナー横の待合所。 駅舎内の待合所はここだけ。壁のポスターがなければ随分そっけない雰囲気になるところだった。


都会の高架下の駅なら、化粧板をたくさん貼り付けてコンクリートを隠し、 壁や天井、床面の反射をよくして駅の中を明るくするのだが、 湖西線の高架下に造られたほとんどの駅では、 部分的にコンクリートを表出させたままにしてある。 このマキノ駅では天井と床面などがそうだ。 志賀駅や比良駅では、そのコンクリート露出の飾らなさが、 うらさびれた湖西の琵琶湖畔と合うように思われて、好感を持っているが、 このマキノ駅の観光の拠点ともなる駅であることもあって、 周りにはそういう寂れた感じはない。 駅前にあるのは、緑が溢れるように整備された駅前と、美しい浜辺へ伸びる広い緑地帯をもつ道。 マキノの浜を想像すると、このコンクリート打ち放しの天井が爽やかに思えるようだった。

マキノ駅と一字ずつ書かれた4枚の駅名表示と青空。 外へ出て。


4枚の駅名表示の上方にはホームの壁があり、駅名表示の下に駅舎入口がある。ホームの壁のすぐ下には蔦蔓があふれ、駅前も芝生やつつじの植え込みや木々で緑が多い。 マキノ駅駅舎。


盛り土の部分にたくさんのみどり。その手前に駐車場。 駅舎を前にして左にしばらく歩くと駐車場に出る。


薄あずきの半透明な板をはめ込んだカーポートのようなアーケード下。 アーケード下から見る駐車場のようす。


並んだ3つのバス停。 バス停は3つあるが会社は近江鉄道バスと湖国バスの2つ。 なぜか湖国バスのバス停が二つもある。これだけで湖国バスの印象が大きくなる。


半透明の薄あずき色のアーケード下。両脇にはつつじの植え込み。 アーケード下を通って駅舎前へ。 雪のことを考えてあるようだ。


四角い建物の間に挟まれた芝生のスペース。奥は盛り土の緑。 上の写真左手にあった草の茂るスペース。 写っている白い建物は駅舎の端。


木々と共に立つ、ポールの上に取り付けられた時計のある前。 アーケード下からふと右手に出ると、 モニュメントスペース。緑の葉陰がうれしい。


花壇のコンクリートに取り付けられていた白い小さなプレート。 昭和61年度電源立地促進対策交付金事業 マキノ駅前プラザ


カタカナの駅名表示が印象的な駅前。つつじの植え込みが目立つ。 駅前。


孫の手のような形状をした屋根を持つ駐輪所。 駅舎を前にした右手には風変わりな屋根の駐輪所。


左手に白地に青字で書かれた琵琶湖環状線の宣伝塔、右手に駅舎と駅前。 駅から少し離れて。ここにも琵琶湖環状線の広告塔が建てられてあった。


駅のすぐ前にはコンクリートで造られた花壇や平地の緑地帯が作られ、 夏であることもあって緑の旺盛な駅前だった。 それだけでなく、目の前にまっすぐに伸びるメインストリートは真中には 幅の広い緑地帯が設けられ、葉をいっぱいに携えた木々かずらりと並んで出迎えてくれた。

かなり幅広の緑地帯のある駅前の道路。誰も歩いていない。 駅前から始まる道。


輝く緑の木々に囲まれた一車線の道路。 緑のトンネルのメインストリート。


芝生の輝く緑地帯の向こうにある赤いのぼりを立てた喫茶店。 奥に「ランチ」と書かれた赤ののぼりを建てた喫茶店がしゃれている。


  駅前からまっすぐに伸びるメインストリートは、一車線分の道路が、 幅広い緑地帯を挟んで二つある。そのため、車道や自動車が強調されず、 緑地帯にある緑と並木の緑ばかりが強調され、歩いていて楽しかった。 左手に連続する四角く区切られた敷地のそれぞれには大きめの新しい家が立ち並んでいたが、 ときどき草の生えた広い空き地もいくつか挟まれた。 そういう空き地からは遠くに濃い緑の夏の山が見えたし、 また、緑の並木の道を歩きながら、その先に湖のあるのを感じていたから、 無機質な住宅地という雰囲気はほとんどなかった。

手前に雑草の生えた空き地、その奥に3件の家。ずっと奥に夏山と青空。 メインストリートの左手の風景。まだ所々に空地がある。


雑草の中に立ち並ぶ、公園設備。 途中、水飲み場や石像などの公園の施設を集めたところがあった。 公園を造る業者の敷地だという。


小さな交差点。 一車線の道路との小さな交差点。 緑地帯も丁寧に道をあける。


やがて大きい交差点に出た。 横切るのは琵琶湖周遊道路だが、 このあたりでは少し琵琶湖畔から離れているようだ。 このときは交通量も少なく、開放的でとても気持ちの良さそうなまっすぐの道路で、 左に去って行く道を遠くに見つめると、 その先の方には背の高い三角の並木が青空の下に列を正して並び出していた。

大きな交差点。信号はなく、自動車の通りも少ない。 周遊道路との交差点右手の風景。テニスコートが保養地らしい。


横断歩道の前に建てられた旗立て。黄色地に子供と大人が渡っている黒い図案の、標識のようなものが箱状になっていて、黄色い旗が入れられている。 黄色い交通安全の旗立て。少し珍しいもののようだった。


大き目の交差点を経ると、緑の並木道もあとわずか。 少し遠くに湖畔のシンボルモニュメントが見え始めた。

一面背の高い緑の草草。その向こうに少しの住宅、ずっと奥に夏山と青空。 緑の並木道から左手を見た風景。


最上部が薄い三角の屋根型になった、縦長の門のようなモニュメント。かなり背が高く、大がかりで、新しいもの。 モニュメント。


中央線のないアスファルトの道路。道の湖側には椰子の木などの緑が多い。右手に赤い看板の喫茶店。 旧道に出て。左手の風景。


  さっそく湖へ。モニュメントをくぐって湖畔に出ようとすると、 これから小学生がカヌーを体験するらしく、 テラスの床石に多くの生徒たちが並んで座っていた。 自動車でやって来た一組のカップルも入りにくいようで、モニュメント付近で寄り添っていた。 私は自然とモニュメントから左に広がる浜辺に歩を進めた。

川と湖がつながるところ。複雑な形の小さな砂地が河口左手にある。 琵琶湖畔。河口付近にて。


薄い漣の湖面。左手奥に緑の茂る海津大崎が突き出し、写真の真中あたりにひょうたんの断面のような竹生島。 竹生島(ちくぶしま)とキャンプ禁止の立て看板。


潮風が吹かず、小さな薄い波が、静かに静かに打ち寄せる小石の多い浜を見ると、 そうそうこれが琵琶湖なんだ、と思う。

白い石の道。右手に絶妙に幹をくねらせた松並木。 松並木の径を歩いて。


4本の松と浜辺。
緑の中を、松影の下を、じりじりと熱い白いタイル石の小道が伸びている。 水泳客のはだしが、土踏まずを浮かせて歩いてきたかもしれない道。 今は7月中旬で、夏休み前。これからも多くの熱がる足がここを通るのかもしれない。
白い石の道。周りは松や芝生の緑が多いが、左奥に鉄パイプだけのビニールハウス。

非常に緩やかで薄い波の打ち寄せる浜辺。浜辺は小石が荒い。 波のほとんど立たない、のっぺらぼうの水面。


波打際を斜め右に見て。左手にボート3隻。 ボートと海津大崎。


波打際はずっと遠くで険しい緑の山にぶつかることで90度右に向きを変えている。その向きの変わった浜辺沿いに集落が見えている。 湖岸に添うようにできた海津の集落。


かれた小さな木の枝と石の粒の大きな浜辺。 浜辺の質。


後ろの遠くでざわめき声が広がった。 カヌーを出したのだ。

ずっと遠くで湾曲する浜辺には、それに沿うように松の濃い緑が続いている。 振り返ってカヌーの群れを。


波打際手前まで芝生のようになった浜辺。 緑の濃い浜辺。


芝生の上から、波打際を水平に見て。
  高木浜と呼ばれるこの一帯の中でも、特にこのあたりは 水泳を楽しむ場として整備されているという。 湖のテラスより南側はオートキャンプ場があり、さまざまな設備が設立されているが、 北側のこちらにはそのままの浜辺が残されているようだ。

  そろそろ浜辺を抜けようと思い、 振り返って家の家の間の狭い道を通り、旧道に出た。 旧道の町並みを見たかった。 昔からの小さめの民家が軒を連ねるアスファルトの1.5車線の旧道は、 古いコンクリートの融雪装置が埋められ、路面が赤茶けていて、 夏の日照りがそれをもっと濃くしているかのようだった。 この赤茶けは、融雪装置から出る水に含まれる鉄分が原因だといわれているが、 そのことよより、この色合いが雪国には欠かせないように感じる。 これを見るとなぜか懐かしい気持ちになり、もっと歩いて行きたい気持ちになる。

戸建の続く旧道。 北を望む。


右手に墓地にある背の高い開放的な木々。左手に人家。 南を望む。先の方のT字路の左に湖のテラスがある。


民家と民家の少し広い間から垣間見える湖面。 人家の隙間にひらめく湖面。 湖と共に生きてきたのだろうと思わせられる。


民家と民家の少し狭い間から垣間見える湖面。
  旧道を歩いて、湖のテラスまで戻った。 三角座りをしてテラスの床石に密集隊形を組んでいた生徒たちも、 今では岸辺を離れたところにカヌーを浮かばせている。 テラスの床石の端には生徒の荷物が並べられ、 岸辺では先生たちがそれぞれ一定の距離を置いて湖面に目を光らせていた。

白い石の大きなタイルのはめ込まれた屋外テラス。少し遠くにガラスと石柱で造ったモニュメントもある。 湖のテラスに戻って。



石造りの回廊下から望む湖面。
やはりテラスに入り込むと怪しまれそうだ。 浜辺を小学生と先生に譲って帰途を踏んだ。

両脇に緑の木々の溢れる一車線道。 帰り道。


十字路の標識と緑地帯のある道路。 この標識の色はふつう色と違って、レモンのような色だった。


短い横断歩道の向こうに芝生の広い敷地。 湖周道路との交差点を渡りきって。


道路の向こうの芝生の広い敷地。 広々とした分譲地。


  整備された良い道路沿いに、大きな立て看板のある空き地をいくつか見て、 10年ほど前にマキノにへ来たことがあるのを思い出した。 そういう風景がたくさんあったから、 マキノのイメージとして定着していたのだろう。 しかし、今ではそんな空き地にも家々が建てられるらしく、 一つの空き地には分譲地を宣伝する大きな看板が立てられてあった。 その周りの分譲済みの区画を見てみると、どの家も新しく、 建設している最中の家もあったから、 開発は最近着手されたのかもしれない。 だとすると、これからはこんな空き地も少しずつ減っていくのだろうか。 マキノのおもしろい風景の一つだったのだが、と言うと失礼だろうか。

白い雲がぽんぽんぽんと浮かぶ夏山と広い敷地。 白い雲がぽんぽんぽんと浮かぶ夏山。ここは駐車場として利用されるらしい。


右手にしゃれたポーチの家の並び、左手には並木。 駅へのメインストリートの歩道。凝ったおしゃれな家が立ち並ぶ。


片方がコンクリートの柱、もう片方がステンレスのパイプで支えられた鐘。 鐘の塔。


右手に大きな幅の広い緑の木。正面にまっすぐの道。 駅前に戻って。右手に駅舎。


赤茶けた道。少し遠くに真新しい建物の郵便局、右手に赤いレンガ壁と白い壁で造られたセンター。 振り返って。郵便局とマキノ自然休養村センター。


ファサードに局面ガラスを使用した郵便局。 マキノ郵便局。消印ももちろんカタカナ。


休養村センター。 マキノ自然休養村センター。 観光案内所、レンタサイクル、土産品と書かれた看板を掲げている。


緑の葉の下から望む、駅舎入口前。人は誰もいない。 木陰からのマキノ駅駅舎。


  駅舎に入ると、おじさんが私の入ってきたことに反応したかのように窓口に出てきたが、 私の姿を見るとすぐに引っ込んだ。客じゃないと思ったからだろう。
  後から来た二人の客と一緒にホームで待っていると、静かに221系がやって来た。 バラストが撒いてあるから、スラブ軌道の比良駅などとは音の大きさが違う。 ちょうど自分の前で停まりかける車両内を覗いていると、 なんと永原駅で出会った列車に詳しい人が乗っているのが見えた。 その人も半ばきょとんとしてこちらを見ている。 というのは、もう帰るからと言って、私はその人と永原駅で別れたからだった。列車内に入るとその人に、
「マキノ駅で降りてた・・・・?」
なんて言われてしまい、そして結局一緒に座ることになり、 221系についての話をすることになった。 近江今津に近づく頃、その人はそこでいったん下車して駅前の平和堂で食料を調達すると言って、 とうとうほんとうに去ってしまった。帰りの列車では午後の早い時間にもかかわらず、 学期末が近づいているせいかテスト期間らしく、 暑さやテストで気力の少なくなった女子高校生がちらほら乗車していて、 その夏服とだるい姿勢を見ると、もうすぐ夏休みだなあ、と感じさせられた。 長い休みを確約された女子高校生は、なんだか心に余裕が生まれ始めているようだった。

  さて今回は、なんだか妙な出会いもあったけれども、私の前夜祭は一応これで終了した。 今年の夏はどんな旅ができるのだろう。 琵琶湖を左手に見下ろしながら、まだ鋭くない日差しの光が差し込む列車内で、うとうと考えた。

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