米原駅
(東海道本線・まいばら) 2006年9月 -
京都・大阪方面からやって来て、この米原駅に降り立つと、
やはり大きな道別れを前に立ちどまった気持ちになる。
「北陸線を行くか、東海道線を進むか・・・。」
─東京方面に向うのなら、明るい東海道の東海道線を。
真っ青な日本海を望むのなら、北陸線をお選びください。
あなたの進む道は、どちらですか。─
そう問われている気持ちになる。
ホームに降り立った人々は、道別れを前にして、
それぞれ自分の向う先をはっきり意識しながら、
数字だけがフラップになった列車案内板や、ホームに立てられた時刻表をじっくり見て、
次に乗り換える列車の着くホームへと向かう。
この駅にはさまざまな行先の列車が入線するし、北陸線の線は3つあるから、
乗り換えする人は、ひとまずこれらをじっくり見なければならない。
自分の定めた目的地にたどり着くために、それぞれのホームへ向う人々を見ていると、
「ああ、あの人たちは東海道線を行くのか、
あの人たちは新幹線乗換えだ。しかし、この人はまだ自分と一緒らしい・・・。」
そんなことを考えてしまう。
街道の追分。鉄路の追分。周りの人の旅が垣間見える。
東海道を進めば、上り線のままだが、北陸線に進めば一転、下り線。
大都市の連なる東海道から外れて、
ひとり、さわやかな海を求めて下り線を歩むのは、とても胸のときめく行為である。
どちらの道を行くか問われている中、すでに決心した行先を胸に、
ここからは北陸線に乗るんだ、と強く心の中で繰り返す。
北陸線のホームで列車を待っていると、
「あの人は華やかな東海道を外れてこれから北陸線に乗るらしいぞ。」
と、東海道線ホームにいる人に思われている気にすらなりたくなる。
「そうです。しかし、どこまで行って、どこで降りるか、わかりませんけれども…。」
「?」
いつものように重々しい419系が入線。
「あんな折戸をくぐって、どこへ行くのかもわからないだって。」
ところが、米原駅を出る北陸本線の普通列車は、ほとんどが敦賀どまりになり、
この駅が北陸の長旅の始まりになる、という気持ちは少し薄らいだ。
7番線から富山行きの普通列車に乗ったことが懐かしい。
また、敦賀まで直流電化になったことで、419系は敦賀より下りにしか見られなくなった。
7・8番線ホーム
7・8番線ホーム
東海道線と北陸線の交じり合いが独特の雰囲気を作る米原駅。
その独特な雰囲気のもっとも色濃く現れるホームが7・8番線ホームで、
そこは大垣・名古屋方面の列車と、
敦賀・福井・金沢方面の列車が到着するホーム。
ときに名古屋方面に行く人と敦賀方面に行く人が交じり合い、
そんなふうに行き先の全く違う人々の交じり合うのはなんともいえない光景だった。
列車が来るまで、ホームの「そば・うどん」の店で麺をすする人もあるし、
キオスクで飲料や読み物、お菓子などを買う人もいる。
夏場にはキオスクの前にアイスクリームの冷蔵庫も設置され、
珍しさから、また暑さのあまり思わず手を出してしまう人も意外に多かった。
ホーム中ほどから北方向を望む。「そば・うどん」の店がある。
振り返って。妙な位置に自動販売機がある。
薄緑の待合室を越えて、南方向を望む。
上屋は、太い鉄骨でがっちり組まれている。
このあたりのホームの縁には停車位置を示す三角印や丸印が書かれているが、
点字ブロックがまだなく、少し変わった風景が見られる。
ホームの南端(彦根より)から見たホームの並び。
手前のホームが5・6番線、次いで2・3番線、そして未共用の近江鉄道ホーム。
北方向に戻り、跨線橋への階段前にて。右7番線の221系は回送列車。
今の7・8番線には列車がないから人は少ないが、
列車の来る時間になり、接続が図られると、
ホームにある時刻表の周りにはたくさんの人が集まってくる。
このホームには「上り東海道線」「下り北陸線」の2本の時刻表が並んで立てられていて、
時刻表を見る人が多くなってくると、新たに見に来た人は、
時刻表の表に回ったり、裏に回ったりして、
人の少ない側を探し、自分の見るべき時刻表をじっくり読む。
時刻表を読んでいる人たちは皆、少し真剣な表情だ。
「ここで待っとけばいいみたい。あと数分で来るよ。」そう家族ら説明するお父さん。
「今行ったとこかぁ、次のまで20分近くもある。」と、うなだれる人。
「もうすぐ来るって。」時刻表を一緒に見ながら、そう連れに言う人。
「ここに大阪行きは来ないのね?」やっぱり迷ってしまった人…。
左:矢印と共に「さめがい」とだけ書かれた8番線側のJR西日本様式の駅名標。
右:矢印と共に「さかた/さめがい」と入れられた7番線側の駅名標。
つまり8番線には北陸線の列車は停車しない。
跨線橋の階段上り口を越えて、振り返って南方向を見る。
太い柱が支えているのは米原駅コンコース。奥に見えている白い簡易な建物は詰所。
この7・8番線ホームは、跨線橋への階段が南側の一つしかなく、北側のこちらにはない。
再び跨線橋の階段上り口に戻って、5・6番線の階段上り口を見る。
完全な木造だ。
上り口脇の窓ガラスはサッシではなく木枠。
ただ、周りの壁には新しいボードがはめ込まれていた。
5・6番線ホーム
5・6番線ホーム。
ここには下りの北陸線の列車しか停車しない。
5番線にはしらさぎが停車する。
このホーム上にも「そば・うどん」の店があり、
利用者の多いホームであることがうかがえる。
時刻表付近から見た隣の2・3番線ホームとその向こうの新しい近江鉄道のホーム。
ホーム時刻表付近から見た「そば・うどん」の店。
上の写真の奥に写っている販売機群。「たばこ でんわ」の表示が古めかしい。
電話の下の「空缶入」と書かれたゴミ箱は木製だった。
ステンレスのゴミ箱の多いなか、珍しい。
北方向に「そば・うどん」の店を望む。
近くにあった、構内放送のための駅時刻表。
薄緑の待合室を越えて。北方向。
駅名標と3番線に停車する221系。
矢印とともに「さかた」とだけ書かれている。
南方向を望む。屋根の高い、レール利用の立派な上屋。
上の写真よりもう少し進むと、何も無いがらんどうとなる。
そこがまた気持ちいい。
以前はホーム上に洗面所があったが、
いつの間にか撤去されてしまったようだ。
5・6番線ホームから見た2・3番線ホーム。
3つある在来線の島式ホームのうち、もっとも新しい。
5・6番線ホームから見た7・8番線ホーム。
大垣行きが停車し、JR東海の社員が乗務を交代している。
「そば・うどん」の店が無いほうの、
跨線橋への階段上り口。こちらは木造ではないようだ。
左5番線に停車中の列車はしらさぎ7号。
上の写真に写っている跨線橋上り口の、壁に取り付けられた窓枠の様子。
こちらもサッシではなく木枠だった。
右手に見えた、7・8番線の跨線橋への木造の上り口。
木造の壁の部分にはサッシの出入り口が作られ、ゴミ置き場や清掃具入れに使われている。
左:7・8番線ホーム北端の詰所。北陸線の普通列車を待っているときによく目に付く風景だ。
右:見上げて何とか見える米原駅コンコース。
縁にはとにかくハトが多かった。
北方向を見て。販売機の入れ替えをしている。
9月半ばの今日、5・6番線ホームの北の端にある販売機エリアでは、アイスクリームの販売機を、通常の飲料の販売機に入れ替える作業を行っていた。跨線橋へは階段しかないため、販売機は特別な機械で運び上げられてゆく。その機械は赤い鉄の枠だけでできた直方体で、それを用いて3人がかりで運び上げていった。1人は後方の安全確認、もう2人は実際に運び上げて行く人。確かに大掛かりな作業であるはずなのに、しだいに、なんとなく周りに溶け合った風景のように思われるようになった。これほど大きな規模の乗り換え駅なのに、ホームから跨線橋へは階段しか手段がなく、しかも南側のその上り口は木造。エスカレーターやエレベーターがあれば、このような光景は珍しく感じられたと思う。
それにしても、もう夏も終わりなのだなと思い、寂しく思った。こんなふうに駅構内の季節の変化に出会うとは思ってもみなかった。以前、このあたりで6番線の列車を待っていたとき、背後の5番線に停車中のしらさぎの車両から、その販売機へ飲み物やアイスを買いに出た人たちを見かけたことがあった。そうやってここでアイスを買った人の夏の思い出の一ページには、きっと、いま撤去されようとしている、このアイスクリームの販売機が出てくることだろう。別の季節に来たときには、この販売機はもうない。あのときは確かに暑かったよなあ、と思い出すのかもしれない。
2・3番線ホーム
2・3番線ホーム。
ここは京都・大阪方面の列車が停車するホーム。
このホームだけは、さっぱりしていて、味気ない。なお1番線と4番線は欠番だ。
東側には、近江鉄道の新しいホームが見渡せる。
番線案内と階段上り口。
まだ使われていない近江鉄道の新しいホーム。
2・3番線ホームの跨線橋を越えた北側には駅弁を売る店があり、青春18きっぷの期間中などでは、乗り継ぎ客でとても賑わう様子がしばしば見られる。以前、その期間に乗り継ぎで見たときは、駅弁がまさに飛ぶように売れていた。
跨線橋の風景
米原駅の跨線橋は、乗り換え駅の割りには通路が広くなく、よく混雑する。新幹線と接続が図られると、数段の階段で直結した新幹線乗換改札から人並みが押し寄せて来て、 なぜか階段下り口付近で待つ人もいるものだから、余計に込み合う。各ホームへの下り口前には、色分けされた電照式番線案内が取り付けられ、跨線橋を色とりどりにしているが、 米原駅独自のフラップ式乗換案内の色と完全には対応しておらず、7・8番線ホームへの下り口の番線案内は黄色、フラップ式乗換案内では橙色となっているため、余計にそうだ。
東側から跨線橋を眺めて。
西側から見た跨線橋内。
跨線橋内の5・6番線ホーム下り口付近では、しらさぎ停車前になると、車掌が大きな声掛けをしながら、小さな机の上で自由席特急券と乗車券を売っていることが多い。これも米原駅らしい光景だ。跨線橋の西端は8段の階段を挟んで新幹線乗換改札とつながっているが、乗換改札手前の、その階段を上らず右折すると、駅弁を売っているコンコースに出る。新幹線の人も在来線の人も使うコンコースだ。
跨線橋の西端の様子。7・8番線ホームは主に東海道線発着のホームとして案内されている。
新幹線の構内
狭い間口にある8段の階段を経て、横にずらりと自動改札の並ぶ新幹線のコンコースに出た。列車の停車しない時間帯に行ったため、旅客は誰もおらず、改札口の規模は大きいのに人のいないことが少々不思議に思われた。
新幹線乗換改札。
新幹線の改札内に入ってみると、やはり跨線橋の間口の割りに、改札は横に随分長いのがよくわかった。また、横に長い改札に入る前の右端には、JR東海の「きっぷうりば」があり、ここでJR東海独自のきっぷを買うことができる。しかし、在来線の跨線橋から来れば、太い柱の影に隠れてあまり目立たない。そして、ここは「みどりの窓口」を名乗っていない。
新幹線の改札内に入って。
東京・名古屋方面(12・13番線ホーム)への跨線橋。
改札に入ったすぐのところでは、作業員がしきりに歩き回り、あたりをしっかりと監視していた。また、どの新幹線の構内でも同じだが、テロ抑止のための防犯カメラがまさに数え切れないぐらい設置されてあった。主に抑止のためであるせいか、意味のなさそうなカメラもあった。
11番線ホーム。
ホームに立ち、伸び行く線路内を見ると、「とうとう、間に停車場を設けずに、京都と岐阜を一本の線で結ぶ異空間に立ち入った」という気持ちになった。ここでは空間の捉え方、時間の捉え方が違う。両隣の駅は京都駅と岐阜羽島駅。また、ここにいれば京都まで22分で移動可能であるし、岐阜羽島までなら14分である。在来線普通列車で京都方面に22分間移動すると、だいたいJR西日本の篠原あたり。同じように名古屋方面に14分間移動すると、JR東海の柏原あたりらしい。この空間にいるだけで、新しい時空の捉え方を手にした気になる。
ここではフラップ式行先案内がまだ活躍する。
11番線から京都方面を望む。
ホームの幅は広く、無駄のものがなく、 隠し場所など一切無いように造られた新幹線のホーム。 「ひかり」と「こだま」だけが停車するが、 どこへでもひとっ飛びできそうな雰囲気だ。
駅名標。JR東海の在来線の駅名表と違い、新幹線では矢印が入る。
となりの12・13番線ホームの様子。
ずらりと立ち並ぶ背の高い透明なつい立が未来的だ。
待合室前付近から名古屋方面を望む。
4線が、遠くでしだいに2線になっている様子がうかがえる。
待合室前。中は冷房がとてもよく効いていて、清潔だった。
ホームにある、液晶の「ご案内」では、 やたら不審物に関する通報の喚起がなされていた。 また、ホームには作業員と駅員が1人ずつ立っていて、 目を光らせていたため、あまり長居できなかった。
向かいのホームで駅弁を売る「オレンジショップ」。
土台部分が逆ピラミッドのステンレスになっていた。
なお、ここでは自動販売機の一部分もオレンジ色になっている。
11番線ホームの名古屋寄りから向かいのホームを眺めて。
左手上方に写っているのは在来線の跨線橋ではなく、新幹線改札内のもの。
新幹線構内には2つの跨線橋がまたがる。
11番線ホームの名古屋寄りから、京都方面を見て。
このあたりにはもう椅子がない。
11番線ホームの壁は横長の長方形の窓枠が積み重ねられたようになっていて、 ガラス張りのように、在来線構内の見通しが利く。 このガラスから7・8番線にある「そば・うどん」の店が見えたとき、 どういうわけか機関車時代の話を思い出した。ここにいるとあそことはそれほど時が離れていると思えたのかもしれない。
ちょうど岡山行きの「ひかり」が入線。
この駅で7分待ち。
降車客を見つめる車掌。
この「ひかり」は、金沢行きの「しらさぎ」と9分接続。
普通長浜行きとは2分接続。
階段上り口付近。近江鉄道線への乗換案内が大きく出ている。
13番線の様子。この線で旅客扱いをされるのは少ないようだ。
上に写っている跨線橋は在来線のもの。
13番線は米原駅で、最も琵琶湖側にある。そこからはもう米原の町が広がるばかり。 ただ、その間にある柵は有刺鉄線がしつこく張りまわされ、気持ち悪い光景であった。
向かいの11番線ホームの「新幹線グルメ」と「Kiosk」。
その間の窓から巣からは在来線の「そば・うどん」の店が見えている。
上り下りそれぞれだいたい1時間に2本ぐらいしか列車が来ない新幹線のホームは、 人の少ない時間が長い。しかし静かな時間が長いというわけではなく、ときおりのぞみが、脇に停車中のこだま・ひかりの車体を揺らしながら中線をすさまじい速さで通過してゆく。脇に列車が停車していればその騒音はまだましだが、ないときともなると頭の中がぐらんとどうかしそうなぐらいだ。こんなときには、待合室に入ればいいのだろうと思いつく。
西口と東口
静かなうちに新幹線ホームをあとにした。 新幹線改札を出るとまっすぐ在来線をまたぐ跨線橋に繋がるが、 左折すれば人心地する駅弁屋のあるコンコースだ。
コンコースを端にて京都方。
コンコースを経て歩き続けると、その突き当たりは左折していて、新幹線構内を渡るための細長い通路が現れる。これで新幹線改札内の跨線橋と、目の前の通路が並行したことになる。長い通路を歩いて、突き当って直角に左折すると、下りの長いエスカレーターと階段。下りきればそこが西口改札になる。
コンコースを経て西口改札へ向う通路。
ちょうど新幹線の構内を渡っている。
改札内から見た西口改札。自動改札は3レーンしかない。
改札外から見た西口改札。
右手にはみどりの窓口、みどりの券売機、通常の券売機が設置されてあった。
西口の米原駅駅舎?
電照式駅名表示には「JR西日本」と添え書きされている。
西口の米原駅駅舎?
西口側からは新幹線のホームがよく見える。
駅前広場の様子。
上の写真右手のバススペース。
左:「旅するひとのいこいのふるさと」と書かれた地図看板が印象的だった。
右:エレベーターを設置している最中らしい。
駅に背を向けて、駅前の大通りを望む。
駅前には高速バスのりばの看板があった。 「毎日運行 池袋・大宮行き23時20分発 横浜・品川行き23時50分発」 と書かれている。米原駅からは新幹線も高速バスも利用できるようだ。
高速バスの看板。
さて、ここからはどうにかして東口に回り、そこから再び駅構内に入る予定。北の方に自動車の通るトラス橋が見えていたから、とりあえずそのたもとを目指した。駅舎前まで戻って、左に折れ、右手にどぶと新幹線構内の有刺鉄線を眺めながら歩くと、橋への階段を発見したので上った。きっと橋からは新幹線構内が見渡せることだろう。
橋への階段。
橋の歩道。
右手に開ける新幹線構内。
左手にある道路は二股に分かれ、右は彦根、左は長浜を目指す。
右手に見えた米原の町並み。
橋を渡り終えて階段を降り、振り返ってみると、米原駅構内の地下をくぐる通路があったのを見つけた。橋を渡る前に、この存在に気づいていたらここを通ってきただろう。 これがあれば橋の階段を上り下りせずとも東西の行き来ができるわけだ。ただ内部は相当暗く狭く、夜には危険な雰囲気になりそうだった。
「あぶない
オートバイ 通行禁止
自転車は押して通ってください」
と書いてある中、目の前を一台のオートバイが走り抜けていった。
地下通路の出入り口から振り返って。
あとは右手に折れて、米原駅東口前に向う細い道を歩いた。 右手に東口駐輪所を見ながら駅前に近づいてくると、 古い食事処がいくつかあるところに出た。
工事中のお食事処。
左に写っているのは「味の店 カレーライス」。
右手に近江鉄道米原駅の駅舎。
そうだ、近江鉄道の駅舎に入ってみよう、と思い、階段を上って入っていった。 駅舎の外観は、単なるコンクリートの二階建ての建物の様相過ぎず、 その外観からは中の古めかしさを想像しにくかった。
近江鉄道米原駅の駅舎内左半分。
水色の古い木製のベンチ。
近江鉄道米原駅の駅舎内右半分。
駅舎内には水場があった。左手に外への階段。
ホームへの入口付近から見た駅舎内の様子。
「近江鉄道で陶器の町信楽へ」と大きな宣伝が出ている。 近江鉄道で行けば信楽高原鉄道を乗り継いで1420円。 JR線と信楽高原鉄道を乗り継いでいけば1560円。 乗り継ぎ時間さえ確認しておけば、かかる時間はそう変わらないようだった。 ところで、近江鉄道の乗車券は、距離にかかわらず途中下車ができる。 道中を楽しむのなら、近江鉄道で行くのがいいかもしれない。
きっぷうりば。
ホームへの風景。
この涼しそうな駅舎内でちょっと休憩しようと思い、中の販売機でカップの冷たい飲み物を買って、木の長椅子に座った休んだ。ここに入ってきたときから、私に睨みを利かせていたきっぷうりばの老爺は、いつの間にかホームへ行った。
飲み終わったので外へ出る。いつまでも造りたてみたいな広いロータリーの向こうに新しいJR米原駅東口の駅舎がある。さきほど2・3番線ホームから見た真新しい近江鉄道のホームの供用が始まれば、今日見た近江鉄道の駅舎はなくなってしまうのかもしれない。
JR米原駅東口。
東口駅舎内の様子。右手に券売機がある。
改札を抜けて階段を上ると、さっきの跨線橋に出る。
新幹線が到着すればほぼすべての接続が図られ、駅構内は一気に人の流れができて賑やかになるという風景はよく知られているが、在来線同士だけの接続時には、少し手狭な駅コンコースにある駅弁屋がゆったりと賑わうような一面も持つ、米原駅。スーツ姿の人や一般の旅行者による新幹線と在来線の乗り継ぎ、また、ゆったりとした旅の在来線どうしの乗り継ぎなどをはじめとする、多種多様な乗り継ぎが、時間帯、ホーム、人の流れによってはっきりと区別されて風景として見え、乗り継ぎをする人々の旅道中を垣間見ることができるところに、米原駅のよさがあるのだと思われた。これは駅の規模がさほど大きくなく、変則的な造りをしていることと、下り北陸線の始まりの駅であることが大きく関係しているだろう。
米原駅は、いろいろな人の乗換えの思い出のつまった駅であり、また、眺めていて、いろいろなひとの旅風景に出会える駅だ。
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