米原駅

(東海道本線・まいばら) 2006年9月 -

  京都・大阪方面からやって来て、この米原駅に降り立つと、 やはり大きな道別れを前に立ちどまった気持ちになる。
  「北陸線を行くか、東海道線を進むか・・・。」
  ─東京方面に向うのなら、明るい東海道の東海道線を。 真っ青な日本海を望むのなら、北陸線をお選びください。
あなたの進む道は、どちらですか。─
そう問われている気持ちになる。

  ホームに降り立った人々は、道別れを前にして、 それぞれ自分の向う先をはっきり意識しながら、 数字だけがフラップになった列車案内板や、ホームに立てられた時刻表をじっくり見て、 次に乗り換える列車の着くホームへと向かう。 この駅にはさまざまな行先の列車が入線するし、北陸線の線は3つあるから、 乗り換えする人は、ひとまずこれらをじっくり見なければならない。 自分の定めた目的地にたどり着くために、それぞれのホームへ向う人々を見ていると、
  「ああ、あの人たちは東海道線を行くのか、 あの人たちは新幹線乗換えだ。しかし、この人はまだ自分と一緒らしい・・・。」
そんなことを考えてしまう。
街道の追分。鉄路の追分。周りの人の旅が垣間見える。

  東海道を進めば、上り線のままだが、北陸線に進めば一転、下り線。 大都市の連なる東海道から外れて、 ひとり、さわやかな海を求めて下り線を歩むのは、とても胸のときめく行為である。 どちらの道を行くか問われている中、すでに決心した行先を胸に、 ここからは北陸線に乗るんだ、と強く心の中で繰り返す。 北陸線のホームで列車を待っていると、
  「あの人は華やかな東海道を外れてこれから北陸線に乗るらしいぞ。」
と、東海道線ホームにいる人に思われている気にすらなりたくなる。
  「そうです。しかし、どこまで行って、どこで降りるか、わかりませんけれども…。」
  「?」
いつものように重々しい419系が入線。
  「あんな折戸をくぐって、どこへ行くのかもわからないだって。」
ところが、米原駅を出る北陸本線の普通列車は、ほとんどが敦賀どまりになり、 この駅が北陸の長旅の始まりになる、という気持ちは少し薄らいだ。 7番線から富山行きの普通列車に乗ったことが懐かしい。 また、敦賀まで直流電化になったことで、419系は敦賀より下りにしか見られなくなった。

7・8番線ホーム

  7・8番線ホーム
  東海道線と北陸線の交じり合いが独特の雰囲気を作る米原駅。 その独特な雰囲気のもっとも色濃く現れるホームが7・8番線ホームで、 そこは大垣・名古屋方面の列車と、 敦賀・福井・金沢方面の列車が到着するホーム。 ときに名古屋方面に行く人と敦賀方面に行く人が交じり合い、 そんなふうに行き先の全く違う人々の交じり合うのはなんともいえない光景だった。 列車が来るまで、ホームの「そば・うどん」の店で麺をすする人もあるし、 キオスクで飲料や読み物、お菓子などを買う人もいる。 夏場にはキオスクの前にアイスクリームの冷蔵庫も設置され、 珍しさから、また暑さのあまり思わず手を出してしまう人も意外に多かった。

少しくらい上屋の下を、遠くの跨線橋の階段に向って見通して。 ホーム中ほどから北方向を望む。「そば・うどん」の店がある。

上屋の下に薄緑色に塗られた簡易な古い待合室を少し遠くから見て。写真手前右には自動販売機がホームの縁に寄せて立てられている。 振り返って。妙な位置に自動販売機がある。

クリーム色に塗られた鉄骨を何本も組み合わせて作られた上屋の下。柱のある部分は天井に向ってアーチさえ形成している。 薄緑の待合室を越えて、南方向を望む。 上屋は、太い鉄骨でがっちり組まれている。 このあたりのホームの縁には停車位置を示す三角印や丸印が書かれているが、 点字ブロックがまだなく、少し変わった風景が見られる。

ホームの横から、向こうにあるいくつかのホームを見通して。ホームのエコー。 ホームの南端(彦根より)から見たホームの並び。 手前のホームが5・6番線、次いで2・3番線、そして未共用の近江鉄道ホーム。

跨線橋階段前の風景。手前に駅名標と時刻表。階段上り口上には黒、緑、青、橙で色分けされた番線案内が吊るされている。 北方向に戻り、跨線橋への階段前にて。右7番線の221系は回送列車。

  今の7・8番線には列車がないから人は少ないが、 列車の来る時間になり、接続が図られると、 ホームにある時刻表の周りにはたくさんの人が集まってくる。 このホームには「上り東海道線」「下り北陸線」の2本の時刻表が並んで立てられていて、 時刻表を見る人が多くなってくると、新たに見に来た人は、 時刻表の表に回ったり、裏に回ったりして、 人の少ない側を探し、自分の見るべき時刻表をじっくり読む。 時刻表を読んでいる人たちは皆、少し真剣な表情だ。
  「ここで待っとけばいいみたい。あと数分で来るよ。」そう家族ら説明するお父さん。
  「今行ったとこかぁ、次のまで20分近くもある。」と、うなだれる人。
  「もうすぐ来るって。」時刻表を一緒に見ながら、そう連れに言う人。
  「ここに大阪行きは来ないのね?」やっぱり迷ってしまった人…。

上屋から吊るされているJR西日本様式の電照式駅名標。 上屋から吊るされているJR西日本様式の電照式駅名標。 左:矢印と共に「さめがい」とだけ書かれた8番線側のJR西日本様式の駅名標。
右:矢印と共に「さかた/さめがい」と入れられた7番線側の駅名標。
つまり8番線には北陸線の列車は停車しない。

手前にホームの両脇に立つ白くて太い二本の柱。それが上にあるコンコースを支えている。コンコースは左の線路内には突き出ておらず、立ち位置はそれほど暗くない。二本の柱の奥には白い簡単な詰所が置かれている。 跨線橋の階段上り口を越えて、振り返って南方向を見る。 太い柱が支えているのは米原駅コンコース。奥に見えている白い簡易な建物は詰所。 この7・8番線ホームは、跨線橋への階段が南側の一つしかなく、北側のこちらにはない。

跨線橋とその階段。全体的に白っぽい色で塗られ、階段上り口脇の壁などは木造になっている。 再び跨線橋の階段上り口に戻って、5・6番線の階段上り口を見る。 完全な木造だ。

階段内から見た、脇にある窓。木枠で菱形の窓。 上り口脇の窓ガラスはサッシではなく木枠。 ただ、周りの壁には新しいボードがはめ込まれていた。

5・6番線ホーム

  5・6番線ホーム。
  ここには下りの北陸線の列車しか停車しない。 5番線にはしらさぎが停車する。 このホーム上にも「そば・うどん」の店があり、 利用者の多いホームであることがうかがえる。

上屋下から、吊るされた駅名標、時刻表、椅子、駅そば屋を右斜めに見て。 時刻表付近から見た隣の2・3番線ホームとその向こうの新しい近江鉄道のホーム。

上の写真に写っているものを、正面から見直して。手前に時刻表、そして一人掛けの六連椅子、その奥に駅そば屋。さらに奥には薄緑の待合室の壁に沿って販売機が設置されている。 ホーム時刻表付近から見た「そば・うどん」の店。

3台の販売機。右の一台はたばこの販売機で、隣の公衆電話と一緒に「たばこ・でんわ」というボックスの中に設置されている。 上の写真の奥に写っている販売機群。「たばこ でんわ」の表示が古めかしい。 電話の下の「空缶入」と書かれたゴミ箱は木製だった。 ステンレスのゴミ箱の多いなか、珍しい。

手前に椅子の並び、その奥に駅そば屋。 北方向に「そば・うどん」の店を望む。

縦長のラミネートされた紙の時刻表。 近くにあった、構内放送のための駅時刻表。

薄緑の待合室とLED式行先案内。 薄緑の待合室を越えて。北方向。

上屋下から隣のホームに停車する221系を見て。 駅名標と3番線に停車する221系。

吊るされているJR西日本様式の駅名標。 矢印とともに「さかた」とだけ書かれている。

南側の、ほとんど何もない上屋下。まっすぐに背の高い上屋が続いている。 南方向を望む。屋根の高い、レール利用の立派な上屋。

上屋下をまっすぐに見て。もうしばらく先にでホームは終わる。上屋下からは国鉄時代の丸い時計が吊られている。 上の写真よりもう少し進むと、何も無いがらんどうとなる。 そこがまた気持ちいい。 以前はホーム上に洗面所があったが、 いつの間にか撤去されてしまったようだ。

厚みのある波板の上屋を持つ新しい感じのさっぱりしたホーム。手前には3線の線路内がある。 5・6番線ホームから見た2・3番線ホーム。 3つある在来線の島式ホームのうち、もっとも新しい。

ホーム縁から2線の線路内を挟んで隣のホームを左斜めに見る。橙色のラインの入った列車が隣に見えているホームの向こう側の線に停車中 5・6番線ホームから見た7・8番線ホーム。 大垣行きが停車し、JR東海の社員が乗務を交代している。

跨線橋階段上り口前。上り口の上からは矢印と小さな字が書かれた乗換案内板が吊られている。 「そば・うどん」の店が無いほうの、 跨線橋への階段上り口。こちらは木造ではないようだ。 左5番線に停車中の列車はしらさぎ7号。

階段内脇の窓の様子。こちらも菱形で木枠の窓。横2枚で一組になっている。 上の写真に写っている跨線橋上り口の、壁に取り付けられた窓枠の様子。 こちらもサッシではなく木枠だった。

跨線橋の下付近から階段袂の木造を見る。地面に近い部分は色が黒くはげかかっている。 右手に見えた、7・8番線の跨線橋への木造の上り口。 木造の壁の部分にはサッシの出入り口が作られ、ゴミ置き場や清掃具入れに使われている。

線路内にはみださないコンコース下に作られたホーム上の白い平屋の詰所。 2階部分にあたるコンコースの壁と下のホーム。 左:7・8番線ホーム北端の詰所。北陸線の普通列車を待っているときによく目に付く風景だ。
右:見上げて何とか見える米原駅コンコース。 縁にはとにかくハトが多かった。

手前に時刻表。ずっと奥に販売機のない自動販売機コーナー。 北方向を見て。販売機の入れ替えをしている。

  9月半ばの今日、5・6番線ホームの北の端にある販売機エリアでは、アイスクリームの販売機を、通常の飲料の販売機に入れ替える作業を行っていた。跨線橋へは階段しかないため、販売機は特別な機械で運び上げられてゆく。その機械は赤い鉄の枠だけでできた直方体で、それを用いて3人がかりで運び上げていった。1人は後方の安全確認、もう2人は実際に運び上げて行く人。確かに大掛かりな作業であるはずなのに、しだいに、なんとなく周りに溶け合った風景のように思われるようになった。これほど大きな規模の乗り換え駅なのに、ホームから跨線橋へは階段しか手段がなく、しかも南側のその上り口は木造。エスカレーターやエレベーターがあれば、このような光景は珍しく感じられたと思う。

  それにしても、もう夏も終わりなのだなと思い、寂しく思った。こんなふうに駅構内の季節の変化に出会うとは思ってもみなかった。以前、このあたりで6番線の列車を待っていたとき、背後の5番線に停車中のしらさぎの車両から、その販売機へ飲み物やアイスを買いに出た人たちを見かけたことがあった。そうやってここでアイスを買った人の夏の思い出の一ページには、きっと、いま撤去されようとしている、このアイスクリームの販売機が出てくることだろう。別の季節に来たときには、この販売機はもうない。あのときは確かに暑かったよなあ、と思い出すのかもしれない。

2・3番線ホーム

  2・3番線ホーム。
ここは京都・大阪方面の列車が停車するホーム。
このホームだけは、さっぱりしていて、味気ない。なお1番線と4番線は欠番だ。 東側には、近江鉄道の新しいホームが見渡せる。

手前に時刻表。奥に跨線橋への階段。上り口上部には4色で色分けされた番線案内が吊られている。 番線案内と階段上り口。

2線の線路内の向こうに新しい造りたてのV字の上屋を持つ島式ホーム。 まだ使われていない近江鉄道の新しいホーム。

  2・3番線ホームの跨線橋を越えた北側には駅弁を売る店があり、青春18きっぷの期間中などでは、乗り継ぎ客でとても賑わう様子がしばしば見られる。以前、その期間に乗り継ぎで見たときは、駅弁がまさに飛ぶように売れていた。

跨線橋の風景

  米原駅の跨線橋は、乗り換え駅の割りには通路が広くなく、よく混雑する。新幹線と接続が図られると、数段の階段で直結した新幹線乗換改札から人並みが押し寄せて来て、 なぜか階段下り口付近で待つ人もいるものだから、余計に込み合う。各ホームへの下り口前には、色分けされた電照式番線案内が取り付けられ、跨線橋を色とりどりにしているが、 米原駅独自のフラップ式乗換案内の色と完全には対応しておらず、7・8番線ホームへの下り口の番線案内は黄色、フラップ式乗換案内では橙色となっているため、余計にそうだ。

白い天井と壁の跨線橋内。天井は切妻になっていて、床面はアスファルト。通路の幅は横に並んで4人が通れるぐらい。階段下り口付近には青地に白い字で数字が書かれた電照式番線番号や4色に色分けされたフラップ式番線案内が天井付近に設置されている。 東側から跨線橋を眺めて。

人が遠くに一人しかいない跨線橋内。両脇の壁の上部はサッシの窓が並んで設置されてあり、下部には額入りのポスターがずらりと貼り並べられている。 西側から見た跨線橋内。

  跨線橋内の5・6番線ホーム下り口付近では、しらさぎ停車前になると、車掌が大きな声掛けをしながら、小さな机の上で自由席特急券と乗車券を売っていることが多い。これも米原駅らしい光景だ。跨線橋の西端は8段の階段を挟んで新幹線乗換改札とつながっているが、乗換改札手前の、その階段を上らず右折すると、駅弁を売っているコンコースに出る。新幹線の人も在来線の人も使うコンコースだ。

跨線橋を渡りきる頃になって、新幹線乗換改札への階段が跨線橋の狭い間口から見えている。 跨線橋の西端の様子。7・8番線ホームは主に東海道線発着のホームとして案内されている。

新幹線の構内

  狭い間口にある8段の階段を経て、横にずらりと自動改札の並ぶ新幹線のコンコースに出た。列車の停車しない時間帯に行ったため、旅客は誰もおらず、改札口の規模は大きいのに人のいないことが少々不思議に思われた。

階段を上がりきる直前から見た、自動改札がずらりと並ぶ新幹線乗換改札。改札の並びの向こうには新幹線構内を渡るための跨線橋への低い階段が見えている。人は誰もいない。 新幹線乗換改札。

  新幹線の改札内に入ってみると、やはり跨線橋の間口の割りに、改札は横に随分長いのがよくわかった。また、横に長い改札に入る前の右端には、JR東海の「きっぷうりば」があり、ここでJR東海独自のきっぷを買うことができる。しかし、在来線の跨線橋から来れば、太い柱の影に隠れてあまり目立たない。そして、ここは「みどりの窓口」を名乗っていない。

屋内の隅に造られた、有人改札・精算所・きっぷうりばの入った詰所と、自動改札の並びを斜め右に見て。 改札内に入ってすぐ左にある下り線ホームへの階段とエスカレーター。天井からは自動改札の方を向いたカメラが5台もまとまって吊られている。 新幹線の改札内に入って。

上り線ホームへの短く幅の広い跨線橋。両脇の壁にはポスターと窓が交互に現れる。 東京・名古屋方面(12・13番線ホーム)への跨線橋。

  改札に入ったすぐのところでは、作業員がしきりに歩き回り、あたりをしっかりと監視していた。また、どの新幹線の構内でも同じだが、テロ抑止のための防犯カメラがまさに数え切れないぐらい設置されてあった。主に抑止のためであるせいか、意味のなさそうなカメラもあった。

大きな片持ちの上屋の下から。少し先の天井にはフラップ時行先案内が設置されている。 11番線ホーム。

  ホームに立ち、伸び行く線路内を見ると、「とうとう、間に停車場を設けずに、京都と岐阜を一本の線で結ぶ異空間に立ち入った」という気持ちになった。ここでは空間の捉え方、時間の捉え方が違う。両隣の駅は京都駅と岐阜羽島駅。また、ここにいれば京都まで22分で移動可能であるし、岐阜羽島までなら14分である。在来線普通列車で京都方面に22分間移動すると、だいたいJR西日本の篠原あたり。同じように名古屋方面に14分間移動すると、JR東海の柏原あたりらしい。この空間にいるだけで、新しい時空の捉え方を手にした気になる。

横に長い大型の行先案内。枠は鼠色でフラップ部分は黒色。 ここではフラップ式行先案内がまだ活躍する。

大きな片持ちの上屋下から、ホームの終わりまで見通して。地面はアスファルトで、左の壁は全面枠の入った窓ガラス。とてもすっきりしている。 11番線から京都方面を望む。

  ホームの幅は広く、無駄のものがなく、 隠し場所など一切無いように造られた新幹線のホーム。 「ひかり」と「こだま」だけが停車するが、 どこへでもひとっ飛びできそうな雰囲気だ。

JR東海新幹線の電照式駅名標。 駅名標。JR東海の在来線の駅名表と違い、新幹線では矢印が入る。

4線の線路内を挟んで、向こう側のホームを見て。人は誰もいない。 となりの12・13番線ホームの様子。 ずらりと立ち並ぶ背の高い透明なつい立が未来的だ。

伸び行く下り線ホームの行先を見つめて。左向こうの上り線ホームも上屋のない明るいところまで伸びている。 待合室前付近から名古屋方面を望む。 4線が、遠くでしだいに2線になっている様子がうかがえる。

つやのある白い壁とステンレスの枠の自動扉の待合室。 待合室前。中は冷房がとてもよく効いていて、清潔だった。

  ホームにある、液晶の「ご案内」では、 やたら不審物に関する通報の喚起がなされていた。 また、ホームには作業員と駅員が1人ずつ立っていて、 目を光らせていたため、あまり長居できなかった。

建物の4つの柱と天井部がオレンジ色に塗られてホーム上のお店。土台部分はステンレスになっている。 向かいのホームで駅弁を売る「オレンジショップ」。 土台部分が逆ピラミッドのステンレスになっていた。 なお、ここでは自動販売機の一部分もオレンジ色になっている。

明るい線路内を挟んで、向かいの上り線ホームを右斜めに見て。先ほどのオレンジショップも見えている。 11番線ホームの名古屋寄りから向かいのホームを眺めて。 左手上方に写っているのは在来線の跨線橋ではなく、新幹線改札内のもの。 新幹線構内には2つの跨線橋がまたがる。

ホームの端付近から、広い左片持ちの上屋の今いるホームを眺め通して。ずいぶん先に行った所に、待合室の壁が見えている。待合室を越えてもホームは続いている。 11番線ホームの名古屋寄りから、京都方面を見て。 このあたりにはもう椅子がない。

  11番線ホームの壁は横長の長方形の窓枠が積み重ねられたようになっていて、 ガラス張りのように、在来線構内の見通しが利く。 このガラスから7・8番線にある「そば・うどん」の店が見えたとき、 どういうわけか機関車時代の話を思い出した。ここにいるとあそことはそれほど時が離れていると思えたのかもしれない。

ホームの端の柵から見える新幹線の先頭車。 ちょうど岡山行きの「ひかり」が入線。 この駅で7分待ち。

ホームの端付近から到着した列車とホームを眺め通して。手前一両より先のドアから、多くの乗客が降りている。 降車客を見つめる車掌。 この「ひかり」は、金沢行きの「しらさぎ」と9分接続。 普通長浜行きとは2分接続。

エスカレーターと階段の降り口を見て。右手の12番線に列車が停車中。左の13番線のある側に、全面格子で、それぞれに窓ガラスの入った壁がある。一部分は途切れ、そこを通れば左の13番線のホームの縁に行ける。 階段上り口付近。近江鉄道線への乗換案内が大きく出ている。

窓ガラスの入った格子の壁とホームの縁が狭い、13番線のりば。 13番線の様子。この線で旅客扱いをされるのは少ないようだ。 上に写っている跨線橋は在来線のもの。

  13番線は米原駅で、最も琵琶湖側にある。そこからはもう米原の町が広がるばかり。 ただ、その間にある柵は有刺鉄線がしつこく張りまわされ、気持ち悪い光景であった。

向かいのホームお店の様子。左にレンガの壁と緑の屋根の少し凝った「新幹線グルメ」という弁当屋、右手にキオスク。 向かいの11番線ホームの「新幹線グルメ」と「Kiosk」。 その間の窓から巣からは在来線の「そば・うどん」の店が見えている。

  上り下りそれぞれだいたい1時間に2本ぐらいしか列車が来ない新幹線のホームは、 人の少ない時間が長い。しかし静かな時間が長いというわけではなく、ときおりのぞみが、脇に停車中のこだま・ひかりの車体を揺らしながら中線をすさまじい速さで通過してゆく。脇に列車が停車していればその騒音はまだましだが、ないときともなると頭の中がぐらんとどうかしそうなぐらいだ。こんなときには、待合室に入ればいいのだろうと思いつく。

西口と東口

  静かなうちに新幹線ホームをあとにした。 新幹線改札を出るとまっすぐ在来線をまたぐ跨線橋に繋がるが、 左折すれば人心地する駅弁屋のあるコンコースだ。

地面がアスファルトの縦長気味のコンコース。左側に二件のお店が入り、右手には弁当を売る露店が一件。 コンコースを端にて京都方。

  コンコースを経て歩き続けると、その突き当たりは左折していて、新幹線構内を渡るための細長い通路が現れる。これで新幹線改札内の跨線橋と、目の前の通路が並行したことになる。長い通路を歩いて、突き当って直角に左折すると、下りの長いエスカレーターと階段。下りきればそこが西口改札になる。

断面がほぼ四角形の通路。床面はアスファルトで、天井は高く厚みのある鼠色の波板になっている。両脇の壁は白色で間隔を置いて窓が設置され、ときどき大きな横長の広告が現れる。全体的に少し薄暗い。 コンコースを経て西口改札へ向う通路。 ちょうど新幹線の構内を渡っている。

降り立った地平コンコース。少々狭い。少し奥の方に、右斜めに自動改札が並べられている。 改札内から見た西口改札。自動改札は3レーンしかない。

4台(3レーン)の自動改札の並ぶ改札口前。通路は改札口を入ってすぐ斜め左に曲がり、跨線橋への階段が始まっている。 改札外から見た西口改札。 右手にはみどりの窓口、みどりの券売機、通常の券売機が設置されてあった。

四方に張り出した焦げ茶の陸屋根とクリーム色の壁の平屋の駅舎。駅舎のすぐ前には幅の広めの歩道。そして、ロータリーの一部をなす道路が通っている。商店などはまったくない。 西口の米原駅駅舎?
電照式駅名表示には「JR西日本」と添え書きされている。

少し離れて駅舎を見て。目の前にロータリーの一部の太い道があり、それが右にカーブしながら駅舎前に続いている。 西口の米原駅駅舎?
西口側からは新幹線のホームがよく見える。

左手少し遠くに駅舎を見ながら、ロータリー中央部に作られた2台のバススペースを見て。バススペースの周りは緑地帯になっている。 駅前広場の様子。

正方形の古いコンクリートが敷き詰められたバススペースの周りの乗降場。乗降場外縁の緑地帯のつつじの植え込みの中に大きな2つの看板が立てられている。 パススペースの乗降場と、斜めに空へ立ち上がっている駅の跨線橋への階段。 上の写真右手のバススペース。
左:「旅するひとのいこいのふるさと」と書かれた地図看板が印象的だった。
右:エレベーターを設置している最中らしい。

グリーンベルトのある道路の右車線を正面から見て。門形になった上部に一行の横長の電光掲示板が設置されていて、米原市のサイトのアドレスを流している。 駅に背を向けて、駅前の大通りを望む。

  駅前には高速バスのりばの看板があった。 「毎日運行 池袋・大宮行き23時20分発 横浜・品川行き23時50分発」 と書かれている。米原駅からは新幹線も高速バスも利用できるようだ。

電照式の縦長の看板。 高速バスの看板。

  さて、ここからはどうにかして東口に回り、そこから再び駅構内に入る予定。北の方に自動車の通るトラス橋が見えていたから、とりあえずそのたもとを目指した。駅舎前まで戻って、左に折れ、右手にどぶと新幹線構内の有刺鉄線を眺めながら歩くと、橋への階段を発見したので上った。きっと橋からは新幹線構内が見渡せることだろう。

道路橋への長くて細い階段。 橋への階段。

左にトラス鉄鋼、右に鉄骨の格子に金網の張られた狭い歩道を行く。 橋の歩道。

4線の新幹線構内。遠くにそれを跨ぐ跨線橋がある。 右手に開ける新幹線構内。

高架橋から徐々に高度を下げて二股に分かれている道路。 左手にある道路は二股に分かれ、右は彦根、左は長浜を目指す。

低い横長の山のふもとに広がる米原の小さな町。 右手に見えた米原の町並み。

  橋を渡り終えて階段を降り、振り返ってみると、米原駅構内の地下をくぐる通路があったのを見つけた。橋を渡る前に、この存在に気づいていたらここを通ってきただろう。 これがあれば橋の階段を上り下りせずとも東西の行き来ができるわけだ。ただ内部は相当暗く狭く、夜には危険な雰囲気になりそうだった。

駅構内の下をくぐる古くて暗くて細い通路の入口前。 「あぶない
オートバイ 通行禁止
自転車は押して通ってください」
と書いてある中、目の前を一台のオートバイが走り抜けていった。

入口から入った直後の風景。通行が制限できるように、開閉できる錆びた低い柵が設置されている。
通路の中に入って。内部は照明が少なく、両脇は石積み。

高架橋の下の風景。つまり地下通路と高架橋は、空から見れば重なっていることになる。 地下通路の出入り口から振り返って。

  あとは右手に折れて、米原駅東口前に向う細い道を歩いた。 右手に東口駐輪所を見ながら駅前に近づいてくると、 古い食事処がいくつかあるところに出た。

1.5階建ての小さな白い壁の建物。建物前面の上部には「お食事処」と黒字で掲出されてある。建物は足場で囲まれていた。 工事中のお食事処。

人も車のとおりもない、横切る道路を挟んで、左手に二階建ての横長の建物、その建物の右手に、少し手前ずれて立っている焦げ茶の壁の2階建ての建物。 左に写っているのは「味の店 カレーライス」。 右手に近江鉄道米原駅の駅舎。

  そうだ、近江鉄道の駅舎に入ってみよう、と思い、階段を上って入っていった。 駅舎の外観は、単なるコンクリートの二階建ての建物の様相過ぎず、 その外観からは中の古めかしさを想像しにくかった。

間口上部の左右の角がカットされた、ホームへの入口が奥にある駅舎内。天井が高く、床はぼこぼこのコンクリート。 近江鉄道米原駅の駅舎内左半分。

駅舎内の隅に設置されている2脚の木の長椅子。水色のペンキは長年の摩擦によりはげかかっている。 水色の古い木製のベンチ。

ホームへの間口を突き当たり右に見て駅舎内を俯瞰する。駅舎内中央に両側とも座れる木製のベンチ二脚、右奥の隅に先ほどの水色の木製のベンチが二脚置かれている。 近江鉄道米原駅の駅舎内右半分。

私道販売機と、随分古い水場。水場の上には明るい窓がある。 駅舎内には水場があった。左手に外への階段。

ホームへの間口左から、駅舎内を俯瞰して。右手の壁の天井付近にはかなり古めかしい路線図が掲出されている。 ホームへの入口付近から見た駅舎内の様子。

  「近江鉄道で陶器の町信楽へ」と大きな宣伝が出ている。 近江鉄道で行けば信楽高原鉄道を乗り継いで1420円。 JR線と信楽高原鉄道を乗り継いでいけば1560円。 乗り継ぎ時間さえ確認しておけば、かかる時間はそう変わらないようだった。 ところで、近江鉄道の乗車券は、距離にかかわらず途中下車ができる。 道中を楽しむのなら、近江鉄道で行くのがいいかもしれない。

左手に小さな窓口、右手に駅員の出入り口。中は雑然としていて、色々なものが置いてある。 きっぷうりば。

柵が半円になった古い改札ブースの向こうに延びる島式ホーム。ホームの上屋も木造。 ホームへの風景。

  この涼しそうな駅舎内でちょっと休憩しようと思い、中の販売機でカップの冷たい飲み物を買って、木の長椅子に座った休んだ。ここに入ってきたときから、私に睨みを利かせていたきっぷうりばの老爺は、いつの間にかホームへ行った。
  飲み終わったので外へ出る。いつまでも造りたてみたいな広いロータリーの向こうに新しいJR米原駅東口の駅舎がある。さきほど2・3番線ホームから見た真新しい近江鉄道のホームの供用が始まれば、今日見た近江鉄道の駅舎はなくなってしまうのかもしれない。

薄く落ち着いた色の真新しい駅舎。屋根は大きな切妻となっていて、その部分はガラスになっている。 JR米原駅東口。

中は全体的に白っぽく、明るい駅舎内。左に4台の自動改札の並び、その右に角を斜めにカットした窓口がある。 東口駅舎内の様子。右手に券売機がある。

右に折れる階段の踊り場に4色で色分けされたホーム案内板が天井から吊られている。 改札を抜けて階段を上ると、さっきの跨線橋に出る。

  新幹線が到着すればほぼすべての接続が図られ、駅構内は一気に人の流れができて賑やかになるという風景はよく知られているが、在来線同士だけの接続時には、少し手狭な駅コンコースにある駅弁屋がゆったりと賑わうような一面も持つ、米原駅。スーツ姿の人や一般の旅行者による新幹線と在来線の乗り継ぎ、また、ゆったりとした旅の在来線どうしの乗り継ぎなどをはじめとする、多種多様な乗り継ぎが、時間帯、ホーム、人の流れによってはっきりと区別されて風景として見え、乗り継ぎをする人々の旅道中を垣間見ることができるところに、米原駅のよさがあるのだと思われた。これは駅の規模がさほど大きくなく、変則的な造りをしていることと、下り北陸線の始まりの駅であることが大きく関係しているだろう。
  米原駅は、いろいろな人の乗換えの思い出のつまった駅であり、また、眺めていて、いろいろなひとの旅風景に出会える駅だ。

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