六軒駅
ワンマンの単行気動車に乗っている。 車両の後ろあたりに座っているから、 運転台の広い窓から視界に入ってくる風景は、 ゆっくりと遠くに遠くに吸い取られてゆく。 ホームの幅が広く、古い上屋がしっかりした無人の高茶屋駅をぐんぐんあとにすると、 大きな川を跨ぐトラス鉄橋に差しかかった。雲出川だという。 この川が砂洲をつくり、その上に香良洲(からす)町ができた。 この町の海岸の香良洲浦は、その季節になると潮干狩りなどの客で賑わうという。 晴れた空の下の単線のトラス鉄橋を、 カタタタン、カタタタンと気持ちよく音を立てながら爽快に渡り終えると、 少しカーブを挟んで、緑色のトラス鉄橋はどんどん遠退いていった。 まわりの田畑の風景はとめどなく流れていき、やがて六軒駅に到着。 冬の田んぼばかりに囲まれたところに停車したから、 下車するのに少し戸惑ったくらいだった。
高茶屋・津方面を望む。
信号機室とトイレ。
再び高茶屋・津方面を望む。
津方面を望むと、造られたばかりの新しい盛り土が横たわっていて、 六軒駅構内に入るあたりをコンクリートの橋で跨いでいた。 この日はその盛り土で道路を造る工事をしていたから、 機械音が遠くからぱらぱらとやって来て、少し気になった。 ところで、この盛り土の道路は「国道23号中勢バイパス」の一部で、 このあたりの部分は2007年4月15日に供用が開始された。 今は1月下旬。共用に向けて工事の真っ最中ということになる。
振り返って。
右手にあった上り線ホームの待合所。
待合所の右手あたりからは青山高原の風車が見えた。
駅舎前から松阪・鳥羽方面を望む。
JR東海の典型的な簡易駅の様相を呈している。
跨線橋をくぐって、松阪・鳥羽方面を望む。
どんな事故でも、それに対して、 直接憤りと悲しみを抱いた人たちが減じてゆくということは、 未来において弔う人を、穏やかな気持ちにしてくれる。 それはほんとうに悲しんで憤ってきた人たちが、 もう悲しんだり憤ったりしなくてよくなるから。
下り線ホーム左側のバラストを運ぶ側線。
跨線橋を高茶屋・津方面に見て。
跨線橋に上って、駅前を見渡して。
跨線橋から見た駅舎。
六軒駅構内俯瞰。
跨線橋から見た上り線ホームの待合所と広がる田畑。
上り線ホームより向こうは広大な田畑が続く。
この向こうに近鉄山田線とJR東海名松線が走っている。
松阪・鳥羽方面を見て。
上り線ホームから見た駅舎。
駅舎前。
駅舎内を通してみた駅前。
外から見た駅舎内のようす。
駅舎内右手。木製の白い長いすは建物に据付のものだった。
駅舎内左手と駅名表示。
駅前のようす。
六軒駅駅舎?
六軒駅駅舎?
駅舎を左手にして見た光景。牧歌的な柵が廻らされている。
駅舎左手にある跨線橋。
バラストを運搬する側線付近。
振り返って駅前を。
跨線橋前あたりから駅前を見て。
自転車はだいたい5,60台。
駅前のスペースから伸びていた住宅街への道を進んで。
右手では田んぼをつぶして新しい家々が立ち並ぶらしい。
駅舎内で列車を待ったが、扉がないから風は吹き込み放題。
とても座ってはいられず、駅舎の中で風をよけるように立ったりしていた。
しかし、まったく効果がない。
「またそれにしてもずいぶん曇ってきたぞ・・・。」
ここに来たときから気にしていた空模様は、
だんだん集まって増えてきて雲ばかりになり、この先の旅程に不安をおぼえさせ始めた。
雲の少ないところまで行って、そこで降りようかとも考え始めた。
ふとエンジン音が聞こえてきたので、ホームに出ると、 名古屋行きの快速みえが向かいのホームに停車した。 一体何があったのだろう、と、驚いて、そして慌てたが、 交換待ちとわかった後でも、なかなかその状況が納得できなかった。 というのは、交換待ちをするにあたって、 こんな近郊の駅に割と長く停車しているのに、 旅客扱いをしないことが異様な光景のように映ったからだった。 少し遅れて鳥羽行きの快速みえがこちらのホームに入ってきて、完全に停止した。 駅舎内から見える快速みえの窓の、アコーディオンのカーテンの隙間からは 窓枠に頬杖をついているスーツを着た男性の姿があった。 そういえば、あの六軒事故での2つの列車は、 事故直前に、交換待ちの駅が松阪駅から六軒駅に変更されていたのだった。 事故を知る人は、ここで交換待ちを経験するたびに思い出してしまうのかもしれない。
快速みえが去り、普通鳥羽行きの着く時刻になる数分前、 列車が4分少々遅れているという放送があった。 この寒い中あと4分も足して待たないといけないのかと思ったと同時に、 無人駅に響く肉声を聞いて、隣の駅であり、大きな駅である松阪駅が近く感じられた。 松坂駅なら都会駅だから多少天気が悪くてもなんとかなるか。 温かい飲み物を手にしたり、そばでも食べたりして暖まることもできるだろう、と思い、 次の駅で降りることにした。
次に訪れた駅: 松阪駅