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亀山駅

  関駅を出ると、座った向かいの窓に背の高い薄茶色の草原が広がりはじめた。 窓からは秋のようなやわらかい日が差し込み、床には日なたができていた。 暖房もよく効いていて、車内はとても穏やかな雰囲気だった。 しばらく自動車道の高架と併走したのち、 また同じような薄茶色の草原が広がった。 後日確認すると、それら枯れ草の広がりは鈴鹿川の広い河原であったらしい。 車内に終点亀山を案内する機械的な女声の自動放送が流れると、 次が終点であることに、なんだかほっとした。柘植でひといき、亀山でまたひといき。 快速で名古屋に向かう人は、少し息苦しいワンマン運転とさよならすることになるし、 どの人もとりあえずは、山越えしてきたこの紫の気動車とはお別れすることになるのだ。
  列車がゆっくりとホームに沿い始めると、周りの人たちは立ち上がりはじめ、 つられて誰かがたま立ちはじめ、完全に停車すると、 まだ座っていた人もわっと立ち上がり、出口に近い人はもう移動し始めていた。 私の向かいのロングシートに座っていたおばさんたちなんかは、 なんだか周りの乗客が旅仲間であるかのような、 わきあいあいとした表情をしていて、 ロングシートのある気動車もなかなかいいもんだと思った。

  和やかムードの気動車内を背後に、 タラップから足を下ろしてとん、とホームに一足下ろした瞬間、 そこにはさも当たり前かのように冬らしい寒さがあった。 天気のよい秋の日のような風景が車内にあったから、錯覚していたのだった。 私がホームの真中に進み出たころには、 乗り合わせた人たちはすでに跨線橋へ上がりはじめていて、 やがては改札をくぐったり、別のホームで名古屋行きに乗ったりで、 みんな散り散りになった。 幅の広い、広々としたホームに一人放り出された気がした。 上屋は背が高く、天井付近は薄暗くなっているほどだった。 降り立ったところは3番線のりばで、同じホームの2番線のりば越しには 日の照った駅舎の明るいオレンジ色の瓦屋根と自動改札口が見えた。

背の高い山型の上屋が覆いかぶさる幅の広いホームを上屋の下から見渡したようす。真中付近に椅子と時刻表と天井から吊られた駅名表があるだけ。 2,3番線ホームの名古屋側の風景。


右半分が日なたで左半分が日陰のホーム。上屋の下から撮影。


上には屋根から吊り下げられた駅名標、その下にホームに二本足で立つ駅時刻表。 駅名表と時刻表。向こうに停車中の列車は鳥羽行き。


一抹の寂しさは、次に紀勢本線鳥羽行きに乗ることを思い出してすっかり消え去った。 ここからまた新しい別の気動車に乗って新しい鉄路をゆき、新しい旅が始まる。 ホームに立てられた時刻表を確認すると、次の紀勢本線の列車は11時23分発の鳥羽行きだった。 10時40分にここに着いたから、あと43分だ。 次ぎの次ぎの紀勢本線は・・・・・・12時23分発。 とにかく次ぎのに乗り遅れないようにしようと思った。

1番線の波板のホーム屋根の下に改札口。波板のホーム屋根の上方にオレンジ色の瓦屋根が見えている。 2,3番線ホームから見た1番線と駅舎。


階段を上りきる少し手前から天井を見上げて。細長い電照式方向案内板が十字に出ていて、そのすぐ近くに大きなミラーが取り付けられている。 跨線橋への階段を上り詰めて。


濃い灰色のコンクリートボードを濃い水色の鉄骨にはめ込んでできた跨線橋内。両脇にはポスターがずらりと並ぶ。 跨線橋内のようす。駅舎側から4,5番線ホーム方面を見て。


跨線橋はなんとなく仮設のような感じだった。 しかし、組まれた鉄骨が青色に塗られた上、 鳥羽への案内も出ていたので、海を連想した。 奈良、京都から山を縫ってここまで来ると、 この駅が海に行くための一つのステップのように思われる。

ホームの上屋の下から白地にオレンジと緑を重ねた細いラインの入った二両編成の列車を途中から見て。ホームの真中にはゴミ箱と自動販売機が置かれている。 跨線橋から4,5番線ホームに下りて。


ほぼ前面ガラス張りの真新しい待合室。両脇に椅子があるだけ。 4,5番線のホームに作られた冷暖房完備の待合室。


幾重ものトラス式架線柱。 4番線から名古屋方面を望む。 右に曲がっているレールが紀勢本線、左に集まっているレールは名古屋に続いている。


上屋の途切れる少し前から見た光景。上屋は少し先で終わってしまうが、ホームもずっと向こうまでカーブしながら続いている。上屋はもうすぐ終わるにもかかわらず、上屋の下には時計と駅名標が設置されている。 4,5番線の関方面のようす。この辺はホームが広いのにひと気がなく寂しい。


右手にホームの波板の屋根、左手上方に横たわる跨線橋を見て。 1番線改札口付近から跨線橋を望む。 JR東海の管轄に入ると跨線橋に駅名が書かれるようになる。 右端には今下りてきた階段がある。


1番線に下りてきたとき使った、改札口に近い階段の反対側にある階段の上り口に回り込むと、 上り口は下半分だけが白い板で覆われて封鎖されていたが、 上り口の上方には「津 松阪 鳥羽 新宮方面4,5」と書かれた案内板があった。

下半分だけ白い板で封鎖された階段の上り口。 跨線橋の関駅側(下りてきたのと反対側)の階段。なぜか封鎖されていた。 列車がこのあたりに停まらないからだろうか。


それを見て、ここから鳥羽や新宮まで旅できるならどんなにか楽しいことだろうと思った。 新宮といえば伊勢湾の入口を越して紀伊半島を右に回り込んだはるか遠方の地だ。 今は真冬だけど、初夏か真夏になったときは是非行きたいと思った。ただ、紀伊山地はとても雨が多いのが気がかりだ。

隣のホームと駅名標に、さらにその向こうのホームと駅名標が重なった風景。人は誰も居ない。 関駅側から見たホームと駅名標の並び。


右下に太い白線を引いた青空の下の古いコンクリートのホーム、左手ずっと向こうには広い停車場があり、架線を支える鉄骨の梁が幾重にもこだましている。 関駅方面を望む。 関西本線の非電化はいったんここで終わり、再び電化路線になる。


線路内と隣のホームの上屋の終わり。上屋の終わりは上の部分が山型になり、下の部分はアーチになっている。 上とほぼ同じ位置から名古屋方面を望む。


幅広い線路内の向こうに見える白い壁の二階建ての横にずいぶん長い無機質な建物。建物の前には緑が茂っている。 同じ位置から見える亀山CTC。


左斜めに改札口前を見て。3台の自動販売機、そしてキヨスクの窓口、そして自動改札の並び。人は誰もいない。 改札口前。跨線橋の階段を下りるとこのあたりに出る。


波板の上屋の下に改札口を右斜めに見て。改札口の左手にはキヨスクの窓口がある。左奥に階段の上り口が見える。 跨線橋の階段と改札口。


改札口付近には大きな自動販売機が3台あり、 近くには改札内からも利用できるキヨスクもあったから、 乗換えで長旅になってしまう人のことをふと想像した。

波板の上屋から吊られた無灯式駅名標。 改札口前の駅名標。


4レーンの改札口を真正面に見て。右端のレーンは有人改札口で幅が少し広くなっている。 改札口。自動改札が導入されている。


左手に二台並んだ券売機、右手には斜めになったみどりの窓口。 駅舎内①
出札口。


左にみどりの窓口、右手に自動改札の並び。 駅舎内②
みどりの窓口と改札口。


駅舎内から見た自動改札の並び。天井付近には2段式のLED式行先案内が横に3つ並んでいる。 駅舎内③
3レーンの自動改札。


左手に自動改札の並び、その右にキヨスク。商品が詰め込まれていて賑やかだ。 駅舎内④
キヨスク。


2色のレンガタイルを1段ごとに色を違えてはめ込まれた床の待合室。右手には外に面した窓が並び、タイル床の上には焦げ茶の長椅子が置かれている。待合室のスペースの左側は左斜めにカットされ、そこには閉店になった暗いガラス戸の入口がある。 駅舎内⑤
改札口右手のようす。以前左手にはお店が入っていたようだった。


駅舎内は少し変わっていて、ギリシャ建築風の柱が二本ほどあり、 天井には小さな明り取りの空間があった。

筋が入れられた丸くて白い柱。 ギリシャ建築風の柱。


天井に空いた四角い穴からは光が差し込み、穴の突き当たりはアーチ状の天井になっている。 天井のようす。窓があるらしく、光が差し込んでいる。


目の前に短い横断歩道。奥のほう「坂本屋旅館」という看板のかかるかなり古びた4階建ての建物。左手奥には巨大の鳥居。 駅舎から出て。


  大きなロータリーと向かいに古いビルの旅館のある駅前は、 見た瞬間は結構賑わっている気がしたが、 すぐに、市街地が駅から離れた所にあることに感づいた。 ロータリーは相当に広く、真中の部分は左から順に4台のバススペース、 20台くらいの一般の駐車スペース、 残りは広々としたタクシーの駐車スペースにあてられていた。 20台くらいの一般の駐車スペースは契約駐車場などではなく、 30分以上駐車禁止の、駅利用者のための一時的な駐車場だった。 また、タクシーの駐車スペースには一台もタクシーがない代わり、 駅前の歩道にはタクシーが頻繁に入ってきていた。

低い三角錐の屋根の下にJR亀山駅と黒い字で表示された駅舎の右は知り部分と渡ってきた横断歩道。 渡ってきた横断歩道を振り返って。


目の前には縦に並ぶパンジーの植えられた大きな正方形の木枠のプランター、その先にオレンジ色の瓦葺の横長の駅舎。 駅前の安全地帯にはパンジーの植えた大きな木のプランターが並べられてあった。


青いビニールを鉄骨に張った軒先の並びの下から。 駅と反対側にある店並。


オレンジ色の瓦屋根の平屋の駅舎を少し左斜めに見て。駅舎入口の上には小さなファンライトが取り付けられている。 亀山駅駅舎①


駅舎をより左斜めに見て。駅舎前にはタクシーが3台並んでいる。 亀山駅駅舎②


この位置から見たとき、高速道路のサービスエリアのように感じた。 駅前の街灯がふたばタイプであることも関係しているだろう。

左手に先ほどの4階建ての旅館の建物、その隣に少し古い3階建ての横長の古い建物、その隣に2階建ての横に短い建物。建物の並びの前は駅前のロータリーだが、人は誰も歩いていない。 駅側から見た駅前のようす①


左手ずっと奥に大きな鳥居、少しはなれて右に坂本屋旅館。 駅側から見た駅前のようす②


個人宅のガレージの片持ちの屋根が一つ設置された駅舎前の歩道。右手にはタクシーが並んでいる。 左手奥に駅舎入口がある位置からみた駅前。


丸太を半分に割ったものを使った、パンジーの植えられた小さめのプランター。 駅舎の壁には亀山市まちづくり推進会議提供のパンジーのプランターがあった。


ステンレスの長い二本の四角柱で支えられた駅舎入口ポーチを真横から見て。奥の方に4階建ての赤黒いビル。 右手に駅舎入口を見て。


駅舎の壁は横長の白い板で作られ、そこにJR東海亀山駅と黒地で表示されている。駅名表示の下には待合室の窓ガラスの並び。 駅名表示。


ロータリーの中央部にバス2台、その左に大きな石造りの鳥居。その左手にはコーナーに立つ坂本屋旅館の古いビル。ビルの屋上には「旅館」と書かれた大きな電飾文字が設置されてある。 ロータリー全景。


幅広い三角屋根の平屋の新築の郵便局。薄い茶色の梁や、窓の縦格子、屋根瓦などを使い宿場町の時代の趣を再現した建物。 上の写真の左隅にある亀山駅前郵便局。 宿場町を意識したデザインだ。


  11時ちょうどごろに駅舎内へ戻った。 あと23分あったが、暖房の効いた列車内で座って待てばいいだろうと思った。 改札をくぐり、駅舎から一番遠い4,5番線の津、松阪、鳥羽、新宮方面行きホームに行って、 私がこの駅に来たときにはもう入線していた2両編成の気動車に乗り込み、 運転士の後ろ付近のロングシートの部分に座った。 これは後でわかったことだが、この日だけ2両編成で、 普段のこの時間は単行なのであった。 なぜこの日のこの時間は2両編成なのか。その謎は一身田駅で解ける。

キハ11系の気動車を後尾から見て。後尾車両の真中上部には「鳥羽」と行先表示を出している。 後尾から見たキハ11系。


若い運転手による、ほとんど何を言っているか分らないような、 か細い声でのいい加減な放送に少し不安をおぼえつつも、 いよいよ扉は閉じ、列車はほんとうに出発。 とうとう紀勢本線に足を踏み入れることになった。

伊勢地方への小さな旅─冬編 その1 | 1(草津線に乗って加太駅へ)2(加太駅)3(関駅) > 4 > 5(一身田駅に降り立って)

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